1年前、コロナを新聞はどう報じたか 朝日は「それほど感染は広がらないとみている」

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徐々に報じられる感染拡大

 だが感染は徐々に広がっていく。読売新聞は1月20日の夕刊1面に「中国・武漢 新型肺炎 死者3人に 感染201人 北京 深圳でも」との記事を掲載した。

 もちろん、武漢市政府などが発表した感染者数や死者数が、事実と異なる可能性があるのは、今では周知の事実だ。

 この時点で「死者3人」は少なすぎると言われても仕方ないが、これでも当時はインパクトがあった。読売新聞は中国側の発表をそのまま伝えたが、100パーセント“対岸の火事”だった過去の記事とは、少しずつ雰囲気が変わってきたことも見出しから伝わってくる。

 翌21日の朝刊で読売新聞は「新型肺炎 感染拡大」と2面で詳報。中国政府チームが「人から人に感染している」と明言したことを伝えた。

 しかしながら、最後は「患者らと行動41人観察継続 厚労省」という記事で締めくくられた。

 内容は、国内初感染が確認された中国人男性の家族や同僚の健康観察を厚労省が続けているというもので、《いずれも現時点では感染や体調悪化は確認されていない》と報じた。

専門家は国内流行を否定

 改めて読むと隔靴掻痒の感があるのは、同じ21日の朝刊に朝日新聞が掲載した「新型肺炎 大都市に拡大 習氏、抑え込み指示」の記事だ。

 その中見出しは「専門家『感染しやすさ 焦点』」だった。これまで「ヒトヒト感染はない」という記事に比べると、よほど現状認識に近づいたと言えるだろう。

 事実、記事に登場する専門家は《「動物からの感染だけでは200人近い患者の発生を説明できない」》と指摘している。

 また別の専門家は《「タイ、日本に続き韓国でも見つかったことを考えると、実際の患者は、中国当局の発表より1、2桁多いだろう」》との推測も語っている。

 かなり真実に肉薄したかと思いきや、結論として専門家が指摘したのは《「国内で流行する可能性はそれほど高くない」》という予測だった。

 最後にご紹介するのは、朝日新聞が1月20日の朝刊に掲載した「いちからわかる!」だ。

 小学生から高校生までの読者も意識したコーナーで、コブク郎、ホー先生、アウルさんといった鳥が時事問題に関する質問を行い、それに記者が答えるというものだ。

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