ヒロミもビックリ?高視聴率「火曜サプライズ」終了でわかった日テレの深謀遠慮
あえてローカルに譲るわけ
キー局がローカル局に明け渡す枠といえば、深夜か日曜の昼など、なかなか数字の上がらない時間帯と相場が決まっていた。なぜ日テレはゴールデン枠をローカル局に譲ったのか。
「実はこの1年、日テレはローカル局を編成に組み込むことに挑戦してきました。昨年1月、日曜ドラマ(22:30~)に読売テレビが『シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。』を製作したのが始まりです」
日曜ドラマはそれまで「今日から俺は!!」や「3年A組―今から皆さんは、人質です―」、「あなたの番です」などヒット作を連発していた。絶好調の時に、なぜ?という声もあった。
「『シロクロパンダ』は世帯の平均視聴率8・1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区:以下同)、個人視聴率9・5%とまずまずの成績でした。続いて日曜ドラマでは昨年10月から、同じく読売テレビの『極主夫道』が放送された。こちらは平均9・2%(個人視聴率:11・8%)とヒットしました」
コロナ禍で日テレのドラマ製作費が減ったからだろうか。
「事実、ドラマ製作にはお金がかかります。系列局が製作すれば、もし赤字になったとしても彼らが補填することになるので、日テレは絶対に赤字にはならないというメリットはあります。しかし、それだけではない。系列局の社員にとっては、自局の番組が全国放送されることで、モチベーションが上がるのです。『極主夫道』は読売テレビが一丸となって製作する体制を整えたために、上手くいったのです」
主演の玉木宏にコメディドラマを演じさせたことに加え、大河「麒麟がくる」出演中の川口春奈や滝藤賢一もキャストに加えたのは見事だった。
「日テレにとっては、こうした異例の編成によって、地方局の製作力がアップし、番組製作費も抑えることができるという、一石二鳥なのです。広告収入の減少は日テレに限った話ではありませんが、むしろ地方局のほうが深刻です。有料チャンネルやネット配信が勢いづく中で、地方局も製作力を上げなければなりません。いまだコロナ収束の見通しが立たない21年度は、番組のクオリティが多少下がったとしても、製作費を下げて、地方局に番組製作を任せることは、日テレにとってもプラスに働くと考えているんです」
その一環としてゴールデン枠にローカル局のバラエティ番組ということか。
「過去に地方局の製作した番組をすべてリストアップし、検討を重ねた結果、『びっくり仰店グランプリ』が選ばれたというわけです」
ちなみに第1回(19年8月9日放送)の視聴率は12・5%、第2回(20年5月22日放送)は15・6%だった。レギュラー化してからも高視聴率が続けば、他のキー局もマネするんじゃないの?
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