「毎日新聞本社」地下で年末年始を過ごしていた、コロナ感染した“パラサイト男”
なぜか住所不定……
2019年にアジア初のアカデミー作品賞を受賞した韓国映画の「パラサイト 半地下の家族」。1月8日に「金曜ロードSHOW!」(日本テレビ系)で地上波初放送されたこともあり、ご覧になった方も多いだろう。物語は富豪へのパラサイト(寄生)をたくらむ半地下住まいの貧乏家族が、豪邸の地下室に先住していた宿無し男に出会うことから急展開するのだが――。
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韓国社会に広がる格差を鋭く描いた本編さながらとはいかないが、日本の大手新聞社の一つ毎日新聞では新年早々、1人の男が、東京都千代田区の本社地下室で見つかった。
しかもこの男が、新型コロナウイルスに感染していたというから、騒動は地下室にとどまらなかったのである。
「編集局の手伝いをするアルバイト補助員さんの1人が新型コロナウイルスに感染していたと、社員への一斉メールで知らされたのは1月7日のことです。それだけなら特段、話題にもならないのですが、なんとその補助員さんは、勤務日でもないのに、12月31日から7日までの1週間あまり、本社の地下1階にある男性用の宿直室に住み着いていたというのです。メールを読み進めるうちに、『うちの会社の管理体制はいったいどうなっているんだ』と青ざめましたよ」
と、毎日新聞東京本社勤務の若手社員。
以下、複数の毎日新聞関係者からもたらされた情報を元に、今回のパラサイト騒動の経緯をたどってみよう。
問題の補助員は、皇居の目の前、東京都千代田区の毎日新聞東京本社4階の編集局で、郵便物の仕分けや新聞のゲラ刷りの配布など、事務作業を手伝うアルバイトの男性である。
同社の補助員は大学などに通う学生が多いが、当該の男性は学生ではなく、しかも、なぜか住所不定……。
会社の地下へと帰ってゆく
アパートを追われでもしたか自宅がなく、友人宅やネットカフェなどを渡り歩いて、雨風をしのいでいたようである。
この“放浪の補助員”の年末年始の1週間を、毎日新聞から社員に送られたメールから繙いてみると、
〈補助員は昨年12月29日、30日は外部のレンタル宿泊施設に泊まり込み、その間、補助員仲間と飲食をしていました〉
〈31日から1月7日午前まで、勤務はしていないものの地下1階の宿直室に泊まっていました。数回、地下5階のシャワー室も使用していたとしています〉
補助員をコロナの悲劇が襲ったのは、この間のことで、
〈1月1日に発熱。同5日に病院を受診、PCR検査を受けました。発熱以降、会社には全く報告がありませんでした。宿直室の使用等も申告がありませんでした〉
アルバイト仲間の補助員たちと食事会を楽しんだ後も1人、会社の地下に帰り、熱が出て病院にかかった後も、やはり会社の地下へと帰ってゆく。
しかも、発熱後、5日間もこの宿直室で寝込んでいたというのだから、この男性補助員にとって毎日新聞本社の地下はまさに“自宅”として機能していたのであろう。
この男性は6日深夜にコロナウイルス陽性が判明するまで、寝床となった宿直室はもちろん、地下5階にあるシャワー室を使用するなど社内を自由に移動していたという。
毎日新聞社は、宿直室の無断利用について全く把握していなかったようだが、そんなことがあり得るのだろうか。
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