菅首相、“最大の弱点”が早くも命取りに……今後も改善の兆しなしでお先真っ暗

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コロナ対策は「後手後手」

 そもそもマスコミは、菅首相のコロナ対策が「後手」に回っていたと指摘していた。3例をご紹介しよう。

◆「菅首相、慎重姿勢から一転=知事突き上げ、後手続き-緊急事態宣言検討〔潮流底流〕」(時事通信:1月4日)

◆「小池氏に『いいようにやられ』宣言へ 首相、後手の末に」(朝日新聞デジタル:1月5日)

◆「アングル:後手に回った緊急事態宣言、効果なければ政局の引き金に」(ロイター電子版:同日)

 政治担当記者は「後手と指摘される理由の1つに、菅首相には優秀な“側近”、つまり参謀がいないという問題があります」と指摘する。

「自分の右腕が存在しないのは、致命的な欠陥です。今から急いで側近を探す、などということができるはずもありません。安倍晋三・前首相(66)も『菅総理には、菅官房長官がいない』と指摘したと言われています。この問題は深刻で、一朝一夕に改善されるとは思えません」

異例の秘書官人事

 この記者氏が注目するのは、1月1日に新聞各紙が報じた官邸人事だ。朝日新聞デジタルは「首相秘書官に寺岡氏 財務省出身、省庁との連携強化狙う」という見出しで配信した。

《政府は、政務担当の首相秘書官だった新田章文氏(39)が辞職し、後任に財務省出身で内閣官房内閣審議官だった寺岡光博氏(54)を充てる人事を決めた。発令は1日付》

 産経新聞は「首相秘書官、3カ月半で交代」と見出しに打ち、《約3カ月半で政務の秘書官が交代するのは異例》と指摘した。

 なぜ菅首相は異例の交代に踏み切ったのか。産経新聞は《新型コロナウイルスをめぐる政府対応が後手と批判されたり、官邸と与党との調整不足が指摘されたりする中、態勢を立て直す狙い》があると解説した。

 そもそも当初の人選から異例だったようだ。毎日新聞は20年9月「菅首相:4首相秘書官、異例の登用 菅首相」との記事を掲載している。

《菅義偉首相は、6人の省庁出身の首相秘書官のうち4人を自身の官房長官秘書官から抜てきした》

《異例の登用となる。(略)気心の知れた秘書官を配置することで政権の円滑なスタートを図る考えだとみられる》

“側近不足”を露呈した人事

 前出の政治担当記者は「安倍内閣の政務担当秘書官と言えば、あの今井尚哉さん(62)が務めた要職です」と言う。

 今井氏と言えば、経済産業省のエリート官僚。第1次安倍内閣で安倍氏の知遇を得て、第2次内閣では内政から外交まで幅広くサポートし、「陰の総理」と呼ばれたこともある。

「歴史的に見ても、政務担当秘書官は“総理の側近中の側近”が任命されてきました。岸信介氏(1987〜1987)には、娘婿である安倍晋太郎氏(1924〜1991)が政務担当秘書官を務めました。小泉純一郎さん(79)の片腕が飯島勲さん(75)だったことは有名です。

 菅事務所で秘書を務めている新田氏は、確かに気心を許せ、信頼しているのかもしれません。しかし、39歳という年齢はあまりに若すぎます。そもそもやり手の秘書というわけでもなく、エリート官僚を統率する“胆力”を期待するのは酷というものでしょう」

 一方の寺岡氏は対照的な経歴の持ち主だ。1991年に大蔵省(現財務省)へ入省。15年から3年間、菅義偉官房長官(当時)の秘書官を務めたこともある。

「財務官僚らしい切れ者というか、やり手です。本来、寺岡さんのような人でなければ、政策担当秘書官は務まらないはずなのです。菅さんも分かっているはずなのに、若い新田さんに任せざるを得なかった。ここに菅さんの“側近不足”が象徴されていると思います」(同・政治担当記者)

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