中村芝翫がまた不倫 そういえば歌舞伎役者は「愛人」「隠し子」は当たり前だったよな

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大御所篇

 以上が現在、中堅どころとして、歌舞伎界を支える役者たちの逸話だが、大御所たちにも古キズはある。

●2代・市川猿翁(当時・猿之助)
 市川中車こと香川照之の実父と言ったほうが通りがいいだろう。猿之助は女優の浜木綿子と結婚し、照之をもうけるも、12歳の時の初恋相手で16歳年上の藤間紫のもとに走る。当時藤間も既婚で、いわばW不倫。浜とは離婚が成立したが、藤間側はドロ沼化。49年を経て、猿之助が61歳の時に結婚した。

●10代・坂東三津五郎(当時・八十助)
 96年、人気女子アナだった近藤サトとの不倫密会が報じられ、翌年には元タカラジェンヌの妻と離婚が成立。再婚したものの、1年7カ月で離婚した。すでに夫婦には跡取りもいたことから、身内に子作りを反対されたことが原因と言われる。

●18代・中村勘三郎(当時・勘九郎)
 94年、京都のホテルで手首を切った宮沢りえと、数時間前まで同席していたのが勘三郎で不倫関係のもつれではないかとを疑われた。会見ではもちろん否定したものの、牧瀬里穂との三角関係を問われると、「もしもそうだとしても役者だから(騒がれても)いいんだけれど、そうじゃないんだ。不倫でなく“倫”にかなった可倫(かりん)なんだ」と意味深な発言。勘三郎は太地喜和子に始まり、大竹しのぶ、椎名林檎、石川さゆりと浮いた噂が留まらなかった。

●4代・坂田藤十郎(当時・中村鴈治郎)
 すでに人間国宝となっていた02年、50歳年下の舞子との密会で、ホテルの廊下で“ご開チン”していたところを激写された。会見を開いたものの「お恥ずかしいですなぁ。なんだか私が元気だと証明するみたいで」と反省の色はゼロ。妻であり国土交通大臣(当時)の扇千景も、「まあ、ご贔屓にして下さる方がいるのはいいことじゃありませんか。この仕事、モテなかったら務まりませんから」と堂々たるものだった。もっとも翌年、息子の中村扇雀が家政婦との不倫を報じられ、現場が同じホテルだったことに、「なんで同じホテルなのよ!」と怒っていた。

 先の歌舞伎評論家が続ける。

「まあ、かつては勝新太郎や石原裕次郎といった映画スターだって同じようなものでしたよ。勝新なんて“役者は治外法権にしてほしい”なんて言っていたほど。さすがに無理でしょうけど、役者や芸人は一般人とは違う感覚の人が少なくないことは確かです。そうでなければ、あんな仕事はできないかもしれません。時代とともに世間の目がどんどん厳しくなる中で、映画スターも芸人も遊ばなくなっていった。だから、近頃は色気のある役者がいなくなった、なんて言うのは可哀想ですよ」

 確かにそうだ。だが、そんな中、歌舞伎界だけは相変わらずということだろう。

「未だに芸の肥やしを引きずっているのが歌舞伎役者なのでしょう。郭を舞台にした題材も多く、江戸時代の価値観を体現する舞台に立ち続けるという影響もあるのかもしれません。ただ、特に名家の場合は、代々そうした遊びの歴史があり、一般家庭との繋がりも少なかったので、それが当たり前に育ってきたこともあるかもしれません。艶福家として他の追随を許さなかった18代勘三郎の祖母に当たる寺島千代さんは、元々は新橋の売れっ子芸者でした。彼女は12代仁左衛門、電力の鬼と呼ばれた実業家の松永安左エ門を経て、6代菊五郎の二号となった。菊五郎の先妻が亡くなり、後妻となって菊五郎との間に生まれた娘が17代勘三郎に嫁いで、18代勘三郎を産むわけです。また11代海老蔵の父である12代團十郎も、銀座のホステスと親密になったこともありました」

 子どもをきつく叱れないわけである。海老蔵は、隠し子騒動の際、こうも語っていた。

海老蔵:子供の頃から歌舞伎の世界におりまして、これが普通だと思っておりました。

「とはいえ今回の芝翫は、用心はしていたみたいですけど、脇が甘すぎました。そして何より残念なのは、そうした遊びが舞台に活きていないこと。歌舞伎役者のおかみさんが浮気をされても離婚しないのは、芸のためと信じているからです。芸の肥やしというなら、せめて芝居が上手くならないと」

週刊新潮WEB取材班

2021年1月11日掲載

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