「菅首相」が「緊急事態宣言」に踏み切った理由 「小池都知事」との関連は?
「1月いっぱい」で区切りたかった首相
1月4日の会見で菅義偉首相が言及してから、世の中は緊急事態宣言の話題で持ちきり。規模は? 期間は? 罰則は? と報道が相次いでいたわけだが、そもそも宣言の発出に慎重とされた菅首相が“方針転換”することになった理由とは? そして、犬猿の仲という小池百合子都知事が主導した「緊急事態宣言の要請」はどれだけ首相の判断に影響を与えたのか?
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「結局は8日から宣言を発出して期間は1カ月となりそうです。当初、菅さんは“宣言を出すにしても1月いっぱいで区切りたい”という思いがあったのですが、それでは効果はあまり望めないということから『1カ月』が浮上しました」
と、官邸関係者。
「今週中に東京の新規感染者は2000人に届くと言われてきましたから、菅さんとしても、宣言の発出は不可避というのは頭にあったはずです。西村さん(康稔経済再生担当相)は宣言を早めに出すべきだと言ってきたんですが、菅さんは慎重でした。それは、経済活動を停滞させるような動きは極力避けたいといった思いがあると同時に、“宣言を出すのは簡単だが終了させるタイミングが難しい”という考えからでした」
そこから“方針転換”に至ったのはどういう経緯があったのか?
「ワクチンの存在です。2月の下旬からワクチン接種が日本でも始まるという見通しが立ったことで、そこから状況の好転が見込めると判断したわけです。うっすらとではありますが、見えてきた光明が菅さんの背中を押したとも言えます。ただ、ワクチンは2月下旬からですから、よほどのことがない限り、緊急事態宣言は1度継続されて、3月まで続くと思われます」
菅首相の胸中を斟酌すると、かなりの葛藤や逡巡があったのだろう。
相変わらず『官房長官』のママ
それは例えばこんな具合だろうか。
できれば出したくない。しかし出さざるを得ない。ということならできるだけ短くしたい。でも効果が望めないし、1度出すと引っ込めるタイミングが難しい。ではどうしよう? ようやくワクチン接種の時期が見えてきた。ならば宣言を出してもいいだろう‥…。宣言を出す・出さないの間を行きつ戻りつしながらの年末年始だったわけだ。
1月2日に、小池都知事が主導する形で首都圏3県の知事が追随した「緊急事態宣言の要請」について、これが菅首相の判断に影響したことはあったのか。
「それはほとんどないと思います。どこかのタイミングで出さなければいけないけれど、目処が立たないうちに出すのはダメだという方針にブレはありませんから。しかし、誰が見ても小池さんが立ち上がったから宣言につながったと見えてしまいますよね。“菅さん、押し切られたよね”と。菅さん自身、小池さんにうまく立ち回られたという思いがあるんでしょう、“都は都合の悪いことはこっちになすりつける”などと周辺に漏らしています」
自民党のある閣僚経験者に聞くと、
「菅さんは相変わらず『官房長官』のママなんですよね。総理大臣なのだから大所高所から物事を考え、判断しなきゃ。小池さんのことが嫌いなのは誰もが知っている話だけど、だからと言って、彼女の行動にたとえオフレコでも不満を漏らすというのは首相としていかがなものかと思いますよね。ただ、一連のコロナ対応が拙劣だから“菅さんでは総選挙は戦えない”“菅下ろしだ”という声は出ていないですよ。自分たちが選んだ総裁を半年も経たないうちに引きずりおろそうという動きはナンセンスだし、『GoTo』は不要だったけれど、じゃあ誰がやったらうまく行ったのかというと、正直、あんまり変わらない感じもします」
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