事件現場清掃人は見た 完璧な準備の末、妹に母親との無理心中をハガキで知らせた姉

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ブルーシートを敷いて

 高江洲氏を驚かせたのは、心中するにあたって、姉が完璧と言えるほど準備を整えていたことだという。

「妹に送ったハガキには、葬儀会社や清掃会社の見積もりを机の上に置いてある旨が書かれていました。姉はあらかじめ、複数の葬儀会社に見積もりを出させ、一番安い葬儀社に決めていました。さらに彼女は、私の会社にも電話をし、清掃や遺品処分の見積もりを出させていました。そこで私のところへ妹から連絡があったというわけです」

 さらに、

「首を吊ったぶら下り健康器の下は、床が汚れないようにブルーシートが敷いてありました。部屋もきちんと整頓され、そのおかげで、現場は特別な清掃が必要ないほど綺麗でした」
 
 母と姉を失った妹は、自分が2人を死なせてしまったと責任を感じていたという。

「妹さんも仕事で忙しく、離れたところで暮らしていたので、介護を手伝うのは難しかった。私は『お姉さんはあなたのことを恨んでいるとは思えません』と言うことだけしかできませんでした」

 遺品の中からは、母親の日記が見つかったという。

「卓上カレンダーの裏に、母親が綴った日記らしきものがあったのです」

 そこにはこんな記述があった。

《本当は〇〇(娘さんの名前)と仲良くしたいのに、なぜこの頃いつもケンカばかりしている》

《いつも迷惑ばかりかけていて、申し訳ない。こんな自分が情けない》

 日記は、最初はしっかりとした文章だったが、次第に間が空くようになり、意味も不明な記述もあったという。

「母親が、自分の娘から死のうと言われたときは、どんな気持ちだったのでしょうか。現場での仕事は手がかかりませんでしたが、私の心にはずしりと重いものがいつまでも残りました」

週刊新潮WEB取材班

2021年1月7日掲載

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