年末番組で好感度急上昇! 二階堂ふみに吉岡里帆…“女に嫌われる女”たちの大逆転と“助演男優”たちのすごさ
二階堂ふみは小賢しい。吉岡里帆はあざとい。確かに演技は上手だけど、なんか“女に嫌われる女”感があるよなあ。そういうイメージを抱いていた。年末の紅白歌合戦と日本レコード大賞を見るまでは。
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紅白の司会を務めた二階堂さんと、レコ大の司会を務めた吉岡さん。演技派女優が、なぜ音楽番組の司会?と疑問に思った人も多かったことだろう。けれども番組が始まってみれば、聞き取りやすい声と落ち着いた進行ぶりは実にみごと。華やかな立ち姿と、たまに見せるお茶目な表情で、無観客の会場に彩りを添えていた。出しゃばるような力みも見せず、かといって「テヘペロ」とごまかすような幼さも出さない。勝手なイメージで恐縮だが、二階堂さんは力みを見せるタイプ、吉岡さんは幼さで逃げるタイプと思われていたのではないか。現役慶應大生でサブカル趣味の二階堂さんは、お高くとまった進行をしそう。吉岡さんはあざとさ全開で、間違えてもフニャッと笑ってごまかしそう。でも実際は全く違った。ニコニコと快活に進行する二階堂さんと、控えめな態度でやりとりを重ねる吉岡さんがいた。そのギャップに打ちのめされた人も少なくなかったとみえる。番組終了後には彼女たちを称える言葉でSNSは埋まった。紅白には桑子真帆アナもいたものの、もう女子アナはいらないのでは、という声も上がったほどだ。
大型番組の司会、特に紅白の司会を務める女優は常に厳しい評価にさらされる。2018年に紅組司会を務めた広瀬すずさんも、自身で「グダグダだった」と振り返っていた。といっても、最近の紅白は演出過多な面もあり、司会の負担が大きいことは否めない。生放送ゆえ秒刻みの進行となり、カメラの切り替えも多い。おまけに卒業発表やら倒れるアイドルがいたり、本番ならではのアクシデントも重なる。台本は直前まで変更が入るし、全てを涼しい顔でこなすのは無理である。
一方で今年は無観客の寂しさはあるにせよ、紅白もレコ大も進行しやすい環境だったと言えるだろう。出演者は出番が終わればさっと下がる。ソーシャルディスタンスを保つため、話すことも最小限だ。必然的にカメラワークもシンプルになり、司会がまごつくところが抜かれることもない。
嫌な見方をするならば、司会女優が叩かれるようなボロを出すタイミングさえなかった。それもまた結果的に、自分の立場をわきまえた冷静な司会ぶり、という評価を強めただろう。唯一、二階堂さんが椎名林檎さんにファンだと言う場面はあったが、ミステリアスな椎名さんが柔らかな表情を見せたこともあり、大舞台を私物化したというよりはむしろ好意的に受け止められていた。一方で交際報道のあった星野源さんに対しては一言もなく、逆に不自然なほどだったが、もしもやり取りがあったら彼女の完璧な司会ぶりにケチがついたかもしれない。なぜならまさに、17年に紅白の審査員だった吉岡さんが、星野さんの歌唱中に嬉しそうに手を振って「これだから吉岡里帆は」と言われていたからだ。
大泉洋に安住アナ……器用な“助演男優”たちあっての活躍
そんな「星野源の彼女枠」たちの株が上がった一方で、忘れてはならないのは助演男優ばりの男性陣の働きである。例えば白組司会だった大泉洋さん。ブラボーブラボーとうるさいという反応もあったが、自分に求められているのは三枚目の役割と読んでのことだろう。拍手も歓声もないNHKホール。その寂しさをかき消すように盛り上げ役に徹し、「そろそろいいですか」と二階堂さんに仕切らせる余地を作ってあげていた。自分が出て、二階堂さんは引く。そのバランスを保つ手綱は総合司会の内村光良さんに。3人とも器用だからこそ、一瞬にしてその役割分担を理解したはずだ。もし白組司会が二枚目タイプの男性だったら、二階堂さんの良さも際立たなかったことだろう。
レコ大での安住紳一郎アナも同じである。常に吉岡さんを立たせて、締めるところは締めていた。突然転倒した豆柴の大群についてフォローを入れ、NiziUの縄跳びダンスをする吉岡さんの後ろで控えめにリズムをとる。個人的にすごいと思ったのは、レコード大賞を獲ったLiSAさんの歌唱時である。客席から声援を送ったDA PUMP のISSAさんに、「ISSAさんいつもありがとうございます」と、名前を挙げて彼を労ったのだ。舞台上だけでなく、カメラに写らない場所にいる歌手にも敬意を払う。そういう目配りは、さすがだと思うのである。
シンプルな形式だったからこそ、本当に実力があるのは誰なのか、ハッキリわかった昨年末。それは司会陣だけでなく、出演者もまたそうである。コロナウイルスの早い収束を願うばかりだが、年末番組は昨年形式のままでいいのではという声も多く上がっている。名司会ぶりで株を上げた二階堂さんと吉岡さん。ただ、次の司会のハードルも上げたという意味では、やっぱり罪作りな女性たちだなと思うばかりだ。