ゼビオが東京Vを子会社化 旧経営陣を“ボロクソ批判”でさらに高まる不信感
とうとうスポーツ用品大手のゼビオが、J2東京ヴェルディ(東京V)の子会社化に踏み切った。昨年の12月25日、ゼビオは10年前に取得した新株予約権を行使し、東京V株の過半数を持つ筆頭株主に躍り出た。返す刀で、羽生英之社長らを退陣させ、新社長を送り込んだ。これまで支援を拒んできたはずのゼビオに何があったのか。
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12月25日、東京Vの公式ページには奇妙なリリースが2通公開された。
まず〈新役員体制に関するお知らせ〉とのタイトルで、経営陣の刷新が発表された。代表取締役社長に中村考昭氏、代表取締役代行に森本譲二氏が就任し、そして取締役の石倉壱彦氏が留任したこと。一方、旧経営陣の羽生社長はじめ、吉田昌弘取締役、斉藤浩史取締役らが辞任したというものだ。
問題は、この後、次のような一文が添えられていたことだ。
〈※辞任にあたり、上記3名からは弊クラブの信用や評価を毀損する行為を辞任以降行わないことの宣誓をいただいております。〉
救世主なのか
次に出されたリリースは、〈東京ヴェルディを応援頂いている皆様へ〉というもので、旧経営陣の経営責任を問う内容が列挙されていた。
【1】経営実力から乖離した売上計画をもとにした事業運営
【2】目先の資金確保を目的とした若手選手の売却
【3】計画性のない追加増資による債務超過の一時的回避
【4】過剰な経費利用等が常態化
【5】新型コロナウイルスの猛威による経営環境悪化リスクの放置
【6】複数の不透明な商取引
加えて〈更に、旧経営陣による新たな株式の大量発行や、株式発行条件の取締役会への一任など、クラブのガバナンスが脅かされる事態となりました。加えて、一部の役員による不平等条約締結によってその他株主が不利益を被る可能性が予見されるなど、クラブ経営を貶める兆候が顕在化したため、同社が新株保有権を行使することにより、この混乱を収束することとなりました。〉
ゼビオが助けてやったと言わんばかりだ。関係者は言う。
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