「高山若頭」をハジいた「高齢ヤクザ」から届いた「手紙」と「コロナ禍のシノギ」
“一生の不覚でした”
この年末年始は、ヤクザ業界からもあまり明るい話は聞こえてこなかった。ただでさえ削られてきたシノギがコロナ禍でさらに細り、食べることにも困る高齢のヤクザからはため息が。元山口組系「義竜会」会長で元暴力団組員の更生を支援するNPO法人「五仁會」主宰の竹垣悟氏のもとには、今でも元ヤクザや現役ヤクザ、さらには服役囚からも様々な情報が入るという。最近では6代目山口組ナンバー2の邸宅を銃撃した高齢ヤクザからも手紙が届いた。斯界の事情通が語る、2021年のヤクザ業界とは。
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山口組の新年は、親分が総本部近くの護国神社に初詣するところから始まっていた。3代目からの伝統である。
「去年も今年も6代目の司忍組長は初詣に出ませんでしたよね。去年の年末には納会を開き、司組長、高山清司若頭ら最高幹部が集まって、6代目の結束をアピールしていたようですが……」
と、竹垣氏。
当の高山若頭は昨年2月、邸宅を銃撃される事件に巻き込まれた。銃刀法違反などの容疑で逮捕された元中野会系の谷口勇二容疑者は、当時76歳だった。
「つい先日、私の知人のところに拘置所にいる谷口氏から手紙がきて、そこには“高山若頭をハジいたのは一生の不覚だった”と書いてあったそうです。恐らく社会で食うに困っていたので、ナンバー2の自宅をハジいたら、組織が塀の中での生活を少しはサポートしてくれると思っていたのでしょうが、差し入れの類はなさそうで、それゆえに“一生の不覚”という言葉が出てきたのだと思います」
「高齢ヤクザはつらいよ」を物語るエピソードである。
似たような話を竹垣氏が続ける。
“餅食うの避けましたわ”
「私とはもう随分長い付き合いで70歳を超えたヤクザがいるんですが、年明けに電話したら、“さすがに今年は詰まらせたらいつも以上に怖いんで餅食うの避けましたわ”と笑ってました。糖尿病なんかの基礎疾患を持っている連中の割合は、一般の方々に比べると相当高いと思われます。ヤクザの方もそれは十分に認識していて、“コロナは怖い。外出はもちろん、餅も控える”という声は結構ありますね」
そして、
「親分の中にも同様に糖尿病とか肝臓を悪くしている人たちが少なからずいて、余裕のある人はダイエットして身体だけは真っ当な人間になろうとするんですが、破天荒な人生を送ってきた人ばかりですから、そう簡単にライフスタイルは変えられず、病気は進む一方なんです」
では、このコロナ禍でヤクザは、どうやってシノいでいるのだろうか。
「シャブのシノギに手を出すところはどんどん増えているみたいです。昔、シャブの商売は北海道と九州に限定されていましたけれど、徐々に本州に侵食し、今や蔓延しています。主として、マンションの一室を密売所として確保してそこに納品するスタイルで、それだとあまり足がつきにくいんです。シャブは近年そんな風に安全なシノギになってきたことも手伝って、コロナ禍で食えない者たちが参入し、拡大している模様です」
《シャブを打ったらコロナにならない》――。そんな風評も広まっているという。
「“たまポン”という言葉があるんです。要するに、たまに覚醒剤を打ちたくなるというわけですね。それに加えてシャブがコロナに効くといったとんでもない話がまかり通っているから、シャブの人気に拍車がかかっていることもあるのでしょう」
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