詐欺と大麻で逮捕の「甲府税務署職員」、なんと父親も東京国税局の「エース」職員!

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 新型コロナウイルス禍を受けて、2019年2月半ばから9月末まで原則として税務調査を見合わせていた国税当局。調査は10月から再開されたものの、相手側にウイルス感染させる可能性を排除できないとして、強制権限を持つ査察部(マルサ)を除けば、必ず相手側の同意を事前に得るよう、例年以上に徹底されているという。このため調査の対象も自ずと限定されることになり、現場はストレスのたまる毎日が続いているようだ。

 その国税当局を震撼させる一大不祥事が、昨年12月2日に山梨県で起きた。東京国税局甲府税務署に勤務する26歳の男性職員が、新型コロナ禍対策として国から支給される持続化給付金100万円をだまし取った疑いで愛知県警に逮捕され、自宅から乾燥大麻が押収されたのだ。ただでさえ思い通りに調査できない日々の中で起きた前代未聞の事件に、東京・築地の東京国税局は重苦しい空気に包まれた。

 ただ、この事件が国税当局に衝撃を与えた本当の理由は、実は別のところにある。国税関係者が「東京国税局の今後の人事構想や調査方針に悪影響が出かねない」と表情を曇らせる、その理由とは?

 まず今回の事件の内容を振り返っておこう。甲府税務署の資産課税第2部門に所属する調査官、藤山雄太容疑者(26)は、愛知大生の男2人(起訴済み)と共謀して5月下旬、愛知県内に住む20代の男子学生を個人事業主(美容業)と偽り、4月の事業収入が前年同月比で大幅に減少したとする虚偽の内容を中小企業庁に申請。6月2日に申請者の口座に給付金100万円を振り込ませた詐欺の疑いで、愛知県警に逮捕された。

 国税職員だった藤山容疑者は、給付金申請の際に添付する確定申告書の偽造を担当し、9月に愛知大生2人が逮捕・起訴された後の捜査で関与が浮上。12月24日には、この愛知大生1人の不正請求にも関わった疑いで再逮捕された。自宅から押収された資料からは虚偽の確定申告書を約250件作成していたことが判明したという。

 また、愛知県警が12月2日朝に藤山容疑者の自宅を詐欺容疑で家宅捜索した際、乾燥大麻や吸引用具が発見され、同容疑者はその場にいた埼玉県川越市の無職男(25)と自称フィリピン国籍の男(24)とともに大麻取締法違反容疑で緊急逮捕された。起訴済みの愛知大生のうち1人は、大麻取締法違反罪でも起訴されている。

 藤山容疑者は都内の私大を卒業後、16年に国税専門官として東京国税局に採用され、杉並署など東京都内の複数の税務署を経て、19年7月に甲府署に異動。相続税などの調査を担当する資産課税第2部門に勤務していた。

 東京国税局元幹部は「杉並署から甲府署への異動は、将来有望と目される若手職員が歩むルートとされています。その有望株がよりによって持続化給付金の詐欺に加えて、薬物絡みの事件まで起こすなど前代未聞。セクハラやパワハラなど比較にならない、言語道断の行いです」と憤る。

 藤山容疑者の逮捕を受けて、東京国税局は西川健士総務部長名で「職務外の行為とはいえ、職員が逮捕される事態は公務に対する信頼を著しく損なうもので遺憾。事実関係を確認し、厳正に対処する」とコメントしたが、公式の謝罪会見は藤山容疑者の起訴を待って行われるようだ。

 国税職員としてどころか、社会人として当たり前のモラルさえ持ち合わせていなかった藤山容疑者。大学卒業後5年目の社会人とはいいながら、いったいどんな家庭教育を受けてきたのか。それこそ親の顔が見てみたいものだ。

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