元記者は見た NHKのやりすぎ「選挙取材」と莫大な「選挙取材経費」

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膨大する選挙経費

 ここまでの体制を敷く裏では、当然ながら膨大な経費がかけられている。

 最も大きいのは人件費だ。全市町村の開票所に派遣会社などから雇った「票送り要員」を配置し、それに加えて特別チームも派遣される。特別チームは、1カ所当たり記者や学生アルバイトを含めて10人近くに上る。

 これに加えて、公示日以降、期日前投票の出口調査や、投票日当日の出口調査も数十カ所で行われる。これも派遣会社に依頼して人員を確保する。

 これでもまだ足りない。各地に派遣された票送り要員や特別チームから送ってくる情報を受ける人員も必要だ。局内には開票速報本部が設けられ、バイトなどを含めて数十人規模のスタッフが確保される。

 当然ながら彼らが使う現地までのタクシー代などもばかにならない。現地までの往復に待機時間、さらに開披台を覗くための脚立を積み込める割高なジャンボタクシーなども手配するのだ。さらに、ほぼ選挙でしか使用しない高倍率の双眼鏡を数十台購入したり、出口調査のために多くのタブレット端末を確保したりと備品の確保も必要になってくる。

 国政選挙のたびにこうした莫大な経費が全国でかかるわけだが、NHKの中では選挙は一大イベント。経費が青天井でも許される空気がある。だが、こうした実情を知った視聴者に「公共放送の選挙報道として当然」と納得してもらえるだろうかどうか疑問である。

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