共産党による「日本学術会議」私物化の歴史 半世紀前から指摘されていた問題点とは
日本学術会議は廃止せよ
日本学術会議は1950年、「戦争を目的とする科学の研究には絶対従わない決意の表明」という声明を出した。戦前、科学者が戦争に協力したことへの反省からなされたとされ、一見もっともらしい。
しかし、当時日本はアメリカの占領下にあり、軍隊も軍需産業も根こそぎ廃絶された上での声明であることを見れば、日本をアメリカに二度と刃向かうことのできない小国にするという占領軍の強烈な意思を反映したものに過ぎない。人文科学を含むあらゆる科学を戦争に動員したアメリカが、日本にだけは戦争につながる科学を「絶対に」禁止したのだ。これを押し頂いた日本共産党はこのあと朝鮮戦争が勃発し、武装闘争という名の「戦争」に飛び込んでいくのだから、何をかいわんやである。
軍事研究をさせないというこの声明は、その後2回繰り返されて今日に至っている。しかし、日本をめぐる防衛環境は激変した。同盟国アメリカはかつての力を失い、台頭した中国は中距離弾道ミサイル2千基を日本に向けているだけでなく、尖閣諸島を奪取する寸前にある。こうした中で日本国民の生命と財産を守る自衛力の強化は喫緊の課題となっている。それに立ちはだかっているのが日本学術会議にほかならない。
日本学術会議は、日本国民を守るための防衛施設庁の研究を大学が受託するのを妨害しながら、他方中国の人民解放軍の軍事研究につながる協定を中国と結んでいる。これは端的に言って日本国民への裏切りである。本誌(「週刊新潮」)は4回にわたって中国にヘッドハンティングされ「千年計画」に参加する日本の科学者の実情をレポートしたが、彼らが日本で研究を続けられるように科学研究費の大幅な増額をすべきだ。首都圏だけで1万人はいるとされるオーバードクターなど若手研究者の就職問題の解決も急務だ。
今回の問題は、これ以上日本学術会議に国益を毀損させておくわけにはいかないという切羽詰まった状況に日本が立たされていることの表れである。1970年から半世紀も放置されてきたのは、自民党政府の怠慢でもある。今回の決断をした菅総理には、殺気が漂っていたと伝えられる。日本学術会議が空論を脱し、軍事研究に反対する決議を廃棄し、政府と協力して国益を追求する組織に生まれ変わらない限り、学術会議廃止論以外の答は存在しない。
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