「嵐」活動休止で探る「お茶の間感」や「普通さ」を保ち続けられた理由とは
2020年いっぱいをもって活動を休止した嵐。20年の長きに亘り、生き馬の目を抜く芸能界でトップを走り続けた。彼らの言葉からその秘訣を探る。
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「人はすぐ変わります。でも何も変わらずに、やり続けてくれた4人がいた」
2020年の大晦日、大野智は嵐の活動休止前のラストライブでそう最後に挨拶をした。
思えば大野智は『嵐にしやがれ』最終回の5人旅のロケでもこうしみじみと振り返っていた。
「変わってないよね」
何気ない一言ではあるが、嵐が国民的アイドルでい続けられた理由を端的に表していると思う。
そう、嵐は“変わってない”のだ。変わらない強さがある、と言ってもいい。これがどれだけすごいことか――嵐の歴史とともに考えていこう。
“変わること”と“変わらないこと”で揺れる
1999年、嵐は『A・RA・SHI』でCDデビューした。デビュー曲こそヒットしたものの、その後、低迷の時期に突入し「ジャニーズなのにオリコン1位をとれない」事態も発生する。
その渦中である2003年発売のアルバムに収録されていた『できるだけ』という曲がある。
「変わっていくことを何故 僕らは恐れるのかなぁ 変わらないものを笑うくせに」
と、“変わること”と“変わらないこと”で揺れる歌詞が、20代前半の彷徨う時期の嵐と重なる名曲である。最後のサビで高らかに歌い上げられる。
「できるだけ僕のままで いたいと思う気持ちは 甘えか自分らしさなのか わからないけれど」
変わらずに自分のままでいたいと思うことは、甘えか自分らしさなのか、と自問自答し、答えは出ないまま曲は終わっていく。
「普通って一番難しいんです」
その後、嵐の環境は一変する。
2005年の松本潤主演ドラマ『花より男子』のヒットをきっかけに、グループ全体にも注目が集まるように。
2006年は櫻井翔の『NEWS ZERO』キャスター就任、二宮和也のハリウッド映画『硫黄島からの手紙』と個人でも大きな飛躍が続き、『花より男子』の続編が放送された2007年に、人気が沸騰した。
それからここまでの人気は周知のとおりだが、驚くほど嵐は変わらなかった。
もちろん、技術などの進歩はあるものの、バラエティ番組に出ても驚くほどフラットで、偉そうになったりすることもない。メンバー同士も変わらず仲良くしている姿が放映され続けた。
人気の低迷した時代を経て、国民的アイドルに。
一気に環境が変わっていく中では、正直、変わらないでいることのほうが難しいだろう。
就任から数ヶ月も立たないうちに、上から目線になるニュースキャスターも多い中、櫻井翔は常に自らを俯瞰し、いち取材者としてい続けた。
『嵐にしやがれ』『VS嵐』etc…5人はスター然とすることなく、どんなゲストを迎えてもフラットに迎え入れた。
嵐を評する時によく使われる言葉は「お茶の間感」「普通さ」といった言葉で、それももちろんあるだろう。
だが、思いを馳せてみて欲しい。
20年の長きに亘り、「お茶の間感」や「普通さ」を保ち続けることがいかに難しいか。
相葉雅紀は2002年の時点でこう語っている。
「普通って一番難しいんです」(月刊アサヒグラフperson 2002年12月号)
アイドルという選ばれし者である彼らが、普通さを醸し続けるだけで難しい。その上、彼らは売れてもそれを保ち続けたのである。
嵐の“変わらない”は、甘えではなく、自分らしさだったのだ。
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