「日本はなぜそんなことに?」 元特殊部隊員が明かす「海外軍人の驚愕」

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「議論すらしないのは…」

伊藤 私も恥ずかしながら、軍法のないことの重さに長らく無自覚でしたし、自衛隊にしろ、軍法にしろ、いろいろな見解があってしかるべきだと思います。単純な憲法の議論には加担したくありません。ただ、この国の自衛隊は非常にいびつで不思議な存在だと思われていることについては、多くの人が知っておいた方がいいのではないかと思っています。

柳瀬 日本が軍事というものに、戦後70年、善し悪しは別として距離があった、距離をおけた、ということの証でもありますよね。

成毛 僕は軍法があるべきだと主張したいわけではないんです。ただ、さすがに、軍法があるべきかあるべきでないかの議論すらしないのは問題ですよね。そして、何よりもその問題に無自覚で、自衛隊の人たちの置かれているいびつな状況を想像できないというのは、現実を把握できておらず、まずいと思います。

伊藤 大きい枠組みで考えると、人を殺しても罪に問われないのは、歴史的にも独裁国家など一部の例外だけだったと思うんです。人を殺した人を無罪にする可能性があるのは、戦闘行為を想定した軍法の世界にしかありません。人を殺すことはそれほど重いこと。普通では許されないことが許される世界だからこそ特別なルールを作っている。だから、ルールがないのであれば、非常時とはいえ人を殺したら単なる殺戮なんですね。海外の人たちが私に向けた驚愕の表情はそういうことを言いたかったのかなと最近改めて思います。

2021年1月3日掲載

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