“半端ない大迫”超えの1年生も…2021年箱根駅伝は「スーパールーキー」が凄すぎる
正月はピカピカの1年生たちから目が離せない。来年1月2日、3日に開催される箱根駅伝は、例年以上にルーキーたちの走りっぷりに注目が集まっている。前哨戦と言われる11月の全日本大学駅伝では、全8区間中の3区間で新入生が新記録を出して、区間賞を獲得している。
伊勢路の1区から話題をさらった順天堂大の三浦龍司は、駅伝でも強さを証明してみせた。10月の箱根駅伝予選会で東京五輪マラソン日本代表の大迫傑(現ナイキ)が持つU20(20歳以下)ハーフマラソン日本記録を塗り替える1時間1分41秒で走り、日本人トップに立った走力はフロックではない。力強いラストスパートで、他大学の上級生たちをあっさりと置き去りにした。“半端ない大迫"の記録を更新した男は、もっと半端ないか。
大学駅伝デビューのインパクトでは、東海大の石原翔太郎も負けていない。伊勢路の4区でスタミナ切れを恐れぬ走りで前半から突っ込み、ハイペースのまま最後まで突っ走った。順位を5つも上げ、流れを引き寄せた走りは圧巻。リオデジャネイロ五輪3000メートル障害代表の塩尻和也(富士通)が持つ区間記録を更新した快走ぶりには、他大学の監督たちも目を丸くしていた。「まさか1年生が塩尻選手の記録を抜くとは思わなかった」(國學院大・前田康弘監督)。箱根の往路でも大暴れする可能性は十分ある。2年ぶりの優勝を狙う東海大のカギを握る一人だ。
そして、箱根の優勝候補筆頭に挙げられる青山学院大でも、1年生から主力となっている男がいる。あどけなさの残る童顔に騙されてはいけない。佐藤一世は伊勢路の5区で淡々とタイムを刻み、苦しい顔など一切見せずに笑顔でタスキをつないだ。レース後は「最低限の走りができました」とひょうひょうと話し、大物の雰囲気を漂わせていた。八千代松陰高校(千葉)時代に全国高校駅伝1区で日本人最高記録を樹立した実績は、やはり本物だった。1月2日には強者がそろう主要区間に堂々と名を連ねているはずだ。
箱根で区間上位を狙える実力を持つ1年生たちは、まだほかにもいる。中央大の吉居大和は実業団選手と肩を並べて、東京五輪の選考会となった12月の日本選手権5000メートルで3位入賞。13分25秒87と驚愕のタイムをマークし、自身の持つU20日本記録も更新した。スピードは学生トップと言っても過言ではない。箱根駅伝予選会でハーフマラソンの距離も経験済みで、1時間1分47秒のタイムを持つ。箱根の本戦でもサプライズを起こす予感が漂う。
上記の4人ほどの派手な実績はないが、駒澤大の鈴木芽吹も全日本大学駅伝の3区で1年生らしからぬ走りで区間5位と好走。東海大の両角速監督が、名指しで「未完の大器」と口にするほどのポテンシャルを秘めている。
箱根路でスーパールーキーたちが上級生たちを打ち負かす姿を見るのは痛快かもしれないが、つばぜり合いする展開も興味をそそられる。「三浦、吉居らの1年生は1区に集まるかも」と予想を立てる他大学の監督もいる。1月2日の大手町で、1年生劇場の幕が開くかもしれない。