神戸山口組の「井上組長」に引退を迫る幹部も…ヤクザ界の2020年を振り返る
“よし、わかった”とは行かない事情
ちなみにここで名前が出た寺岡若頭と竹垣氏は因縁浅からぬものがあるという。
「4代目山口組を離脱して一本独鈷となった竹中武組長に付き従って、私が若頭補佐をやっていた頃、寺岡若頭と食事をしたことを覚えています。寺岡若頭はその頃、5代目傘下の西脇組舎弟頭の立場で、共に若い衆を連れて姫路のホテルに集まったんです。寺岡若頭からしたら私は敵ですから、そんなのと会ったりするのはご法度に近いと思うんですが意に介さず、ひとかどの人物だなと感じた次第です」
2人には共通の兄弟分もいたこともあり、その後、竹垣氏が所属していた中野会が5代目山口組から絶縁処分を受けた際には、寺岡若頭が竹垣氏に、いの一番に電話をかけてきたという。
「当時の中野親分からも“寺岡のところへ行ったらどうや”と勧められたんですが、こればかりはご縁ですからね……」
話を現在に戻そう。
「寺岡若頭ほどの人が誠意をもって井上組長を説得しているとしても、井上組長もそう簡単に“よし、わかった”とは行かない事情があります」
具体的には、
「組事(くみごと)として、抗争に関係し、長い懲役に行っている者が刑務所にようけいるわけです。井上組長もいわゆる大阪戦争の後、17年の懲役を務めました。カタギになる代わりに自身の身の安全を保障してもらうことになるでしょうけれど、それを世間(ヤクザ内の)が許さないでしょう。そのことは井上組長もよく理解していると思います」
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