カネ儲けに勤しむ「韓国のキリスト教会」 今年は「異常なクリスマス」に
誰かが言うように、信者と書いて「儲かる」という字に見える宗教家は少なくないわけだが、韓国のキリスト教のカネ儲け事情は――。
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韓国統計庁のデータによると、同国の2015年の宗教人口は、仏教が約762万人、プロテスタントが約968万人、カトリックが約389万人で、欧米等のいわゆるキリスト教国を除くとキリスト教徒の割合が最も高いといわれている。
韓国のキリスト教は日本から伝わった。
文禄・慶長の役でキリシタン大名の小西行長が朝鮮から引き上げる際に随行した朝鮮人養女「おたあジュリア」が、韓国最初のキリスト教徒といわれている。
貴族の娘という説があるが、出自や本名は伝わっていない。
「おたあジュリア」について、韓国は日本に拉致されたと主張するが、実際は小西行長の夫人から教育を受けたという。
1600年、小西行長は関ヶ原の戦いに西軍方で参戦し、京都六条川原で処刑された。
その後、おたあジュリアは徳川家康の侍女となり、他の侍女や家臣に信仰を広めた。
1612年、江戸幕府は直轄地に禁教令を布告。
おたあジュリアは改宗を拒絶し、また側室になることも拒絶して伊豆に流されている。
そして、韓国のキリスト教は日本の統治時代に定着した。
朝鮮王朝は公式にはキリスト教を禁止していなかったが、儒教第一の国で邪教とみなされて弾圧を受けた。
日本の支援で大韓帝国が誕生すると、日本に駐在していた外国人宣教師が韓国に渡って布教を本格化させた。
1894年、日清戦争で中国が負けると、韓国の政財界はおしなべて日本が新たな宗主国になることを望んだ。
しかし、日本に反抗する人々の多くは、信仰の力で国を救うという愛国精神を掲げたキリスト教の門を叩き、抗日運動を展開。
伊藤博文を暗殺した安重根はキリスト教徒で、1919年の三・一抗日運動の独立宣言文に署名した33人も16人がキリスト教指導者で、15人がキリスト教系新興宗教の指導者だった。
時代が下り、日本がポツダム宣言を受諾した2ヶ月後の1945年10月、国外で抗日活動を行っていたキリスト教徒の李承晩は韓国に帰国して建国運動を主導、初代大統領に就任した。
わらしべ長者な牧師たち
カネ儲けの話に移ろう。
プロテスタントに話を絞ると、牧師は信者集めに余念がない。
若い牧師はまず、なけなしの金をはたいて教会を手に入れる。
信者が増えたら教会を信者ごと若い牧師に売り、手にした金で中規模の教会を購入する。
新たに購入した教会の信者が増えたら、その教会もまた他の牧師に売って、さらに大きい教会に買い替える。
売却額は信者の数に比例するため、信者が増えれば高く売れるが、信者が少なくなると売却損が出てしまう。
今年8月に新型コロナウイルスのクラスターとなったサラン第一教会の創設者は、神学校を卒業した1983年、東大門区の商店街で13坪の教会“事業”を始めて1985年に移転し、1995年に現在の礼拝堂を買い取った。
新興宗教を創設する指導者もいる。
文鮮明は1954年、世界基督教統一神霊協会(通称:統一教会)を設立。
以後、日本を皮切りに欧州や米国に進出。集めた資金で商業活動を展開し、韓国有数の財界人として、旧ソ連や中国、さらには金日成など共産国の首脳と面談した。
2012年9月に文鮮明が亡くなると資産に注目が集まる。
韓国のヘラルド経済は、世界日報や龍平リゾート、一新石材など、メディアから飲食品、リゾート、旅行など多岐に亘る15社を合わせた“統一グループ”の資産は約1兆7000億ウォン(1ウォン=0.093円)と報じた一方、公開されている系列会社は一部に過ぎず、50を超える傘下企業が有する世界中の総資産は6兆ウォンを超えるだろうと報じている。
統一教会教祖の家は韓国の高級住宅街・漢南洞にあり、梨泰院のサムスン会長宅に次ぐ豪邸だ。
文鮮明が亡くなったとき、韓国内の不動産資産が5000億ウォンに達すると報じられたが、ソウル江南のある非公開資産が話題になった。
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