「小泉進次郎」後援者が「環境破壊」という皮肉 土砂を海洋投棄、地元漁師「海を殺す気か」

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 環境大臣のお膝元で「環境破壊」というブラックジョークである。小泉進次郎大臣(39)の支援者が大量の土砂を海洋投棄。地元から「海を殺す気か」と非難の声が上がっているのだ。

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 舞台となっているのは、進次郎氏の地元・神奈川県横須賀市にある大楠漁協。

 2019年8月、大楠漁協が管理する芦名漁港付近で波を防ぐための消波堤兼漁礁を設置する工事が漁協主体で始まった。工事箇所は岸から70メートルほどの場所。作業船が入るには水深が浅いため、海底の浚渫(しゅんせつ)、すなわち土砂を取り除く作業が行われたのだ。

 この問題を追及する小林伸行横須賀市議が言う。

「この消波堤は台風時の高波で救急車などの緊急車両が沿岸道路を走れなくなる事態を避けるため、という名目で造られたはずでした。ところが、今年3月に消波堤の整備が完了した後も、なぜか浚渫作業が続きました。結果的に予定していた10万立方メートルを超える30万立方メートルもの土砂が浚渫されたと見られています」

 問題はその土砂の処理で、

「以前から浚渫した土砂を沖合の海域に船を走らせながら投棄していたことがわかりました。当初は土砂を横須賀市内の処分場で処理するはずだったのに、このことで漁場に土砂が拡散し、魚が獲れなくなるなどの被害が出ているのです」(同)

 さらに最近になり、この工事の“真の目的”が見えてきたという。

 今年の夏、芦名漁港と同じ湾内にある湘南サニーサイドマリーナ(以下サニー社)のヨットハーバーで新たなバース(船舶を係留させる施設)が造られ始めた。

 このサニー社の代表は進次郎氏の熱心な支援者として知られ、本社には大臣のポスターが堂々張られている。

「どうやら、サニー社がバースを作り、大型ヨットを係留できるようにするのがこの工事の本当の目的だったのです。消波堤を造ることでヨットハーバー付近を波のない静かな海にし、かつ土砂の浚渫で水深を深くして、ヨットが航行できるようにしたわけです」(同)

 大楠漁協の組合長はサニー社の関連会社の代表でもあり、両者は一体化している。すなわち、大楠漁協を隠れ蓑に、サニー社が自社を利する工事を主導したと考えられるのだ。

環境回復に数十年!

 小林市議が続ける。

「過去にサニー社の代表は小泉大臣が代表を務める自民党支部に30万円の献金をしています。そのせいか、地元住民や近隣漁協が土砂の海洋投棄について市や環境省に問い合わせても、全く聞く耳を持たないのです」

 まさか、行政は大臣に「忖度」しているのか。

 当のサニー社の代表が一連の工事について、

「基本的には地域の防災のためだよ」

 と言えば、大楠漁協の組合長もこう主張する。

「我々は沖に良い砂を撒いて『つきいそ』(漁礁)を作っているんだ」

 環境省に訊くと、

「漁礁を作るための土砂投入なので、法律違反には当たりません」

 しかし、周辺を漁場にする漁師が怒りに震えて言う。

「このあたりはいろいろな魚が獲れるんです。エビにヒラメやアマダイなど。つきいそを作るなら1カ所に土砂を撒くはずが、広範囲に投棄している。漁場は壊滅。好漁場に戻るには数十年が必要ですよ」

 セレブの道楽のためと思われる有力支援者の海洋環境破壊を環境大臣が頬かむりなんて。灯台下暗しで済ませてはならない。

週刊新潮 2020年12月24日号掲載

ワイド特集「絵に描いた餅」より

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