「東京ヴェルディ」経営再建で大モメ スポンサーとの“不平等条約”にV社長が泣いた
Jリーグが開幕した93年5月15日、ヴェルディ川崎VS.横浜マリノス(NHK総合)の視聴率は32・4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区・世帯)を記録した。ヴェルディは初代年間王者となった。2001に東京ヴェルディ1969に、08年には東京ヴェルディにチーム名を変更。この10年はJ1になかなか上がれない状態が続いている。12月20日、今期最終戦が行われたが、そこには異様な光景が広がっていた。
***
J2東京ヴェルディ(東京V)の最終戦は、味の素スタジアムで開催された。写真は観客席の様子だ。応援とは思えぬ横断幕がそこかしこに掲げられている。
〈ゼビオ様 10年前の恩は一生忘れません。でも……〉
〈スポーツをマネーゲームの餌にするな〉
〈新株予約権 振りかざして ヴェルディの発展を妨げるな〉
〈ビジョンのないゼビオによる支配に終止符を〉
〈ヴェルディはゼビオのものじゃない!私物化×〉
〈ゼビオ様 サポーターのことは無視ですか?〉
〈ゼビオの為にも今が引き時〉
社長が泣いた
事情をご存知ない方は、何事かと思われるだろう。試合後、東京Vの羽生英之社長はサポーターに向け、こう挨拶した。
羽生:皆さん、1年間、この大変な環境の中、東京Vを本当に温かく見守っていただきまして、ありがとうございました。今までに経験したことのないような1年を私たちは過ごしました。その中で、クラブは大きな痛手を負いました。私は2010年にこのクラブに来て、その時も存続の危機でした。その時に結んだ1つの契約が今、すごく残念な対立を生んでしまっています。私が社長の座を降りることにまったく躊躇はございません。それは、このベルディという偉大なクラブの歴史のほんの小さなことに過ぎません。だけど、このクラブの未来がいい方向に向かっていく確信がなければ、私はここを去るわけにはいかないんです。
感極まって涙を拭う社長に、客席からは大きな拍手が送られた――。
[1/2ページ]