「豊胸手術で下腹部が腫れ上がり…」被害女性が語る「品川美容外科」の手術トラブル

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自粛を求める声明

 原因を調べたが、

「産婦人科や泌尿器科など、さまざまな病院を回っても分からず、ようやく、8月に受診した皮膚科で判明したのです。腫れた箇所に針を刺すと、赤茶色のジェルが出てきました。溜まっていたのは膿などではなく人工物。胸を大きくするはずの“中身”が下腹部まで“下がって”いたのです」

 施術時、水溶性と言われたアクアリフトが溶けずに体内を動いたわけだが、

「いまも完全に除去できていません。ほかの病院では断られるので、福岡院で抜くしかないのですが……」

 9月以降、東京の本部から女性に連絡が入り、処置はストップ中だ。

「本部曰く、“手術代100万円と精神的ダメージ分70万円、合計170万円払う”。そのかわりに一切の関係を断つとの条件つきでした。ほかの病院では除去できないので、そんな条件のめるはずがない。そう断ると、つい先日、200万円でと打診されました」

 一連の経緯に関して品川美容外科に説明を求めると、

「その件については回答いたしかねる」

 日本美容医療協会理事の野本俊一医師が嘆息する。

「アクアリフトの一般名はコポリアミド。水溶性で安全と謳われていますが、実際は溶けません。ジェルが胸からどう体内を移動するかはまだ分かっていないのですが、単純に皮下組織の筋膜の上を滑っているのではないかと推測しています。今回の女性と同じような被害者が出たこともあり、日本や韓国では美容外科の学会などが使用自粛を求める声明を出しています」

 が、罰則はない声明が無視されることもあるわけだ。被害女性が世の女性に呼びかける。

「手術を受けるなら、危ない目に遭う可能性には気を配ってほしい。それと、病院は慎重に選ぶべきです」

 美への願望とリスクを秤にかければ……。

週刊新潮 2020年12月24日号掲載

ワイド特集「絵に描いた餅」より

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