慰安婦誤報で敗訴「植村記者」が「安倍前総理」に逆ギレ 「投稿を削除しなければ法的措置」

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 元朝日新聞記者の植村隆氏(62)がジャーナリストの櫻井よしこ氏らに対して損害賠償請求を行っていた訴訟で、植村氏の敗訴が確定した。5年もの歳月をかけた訴えが退けられたのだから恨み言の一つも言いたいのは分かるけれど……。

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 植村氏の敗訴確定は先月のこと。

「最高裁が、11月18日付で植村さんの上告を棄却する決定を下しました」

 と、司法記者が解説する。

「植村さんの主張は、1991年に執筆した従軍慰安婦に関する記事を、櫻井さんから“捏造”などと論評されたことが名誉毀損に当たるというもの。2015年に提訴しましたが、一審も二審も櫻井さん側の“真実相当性”を認め、植村さんの請求を退ける判決を出していたのです」

 その植村氏が、今度は安倍晋三前総理に噛みついた。

「きっかけは、11月20日から翌21日にかけて安倍前総理がSNSに投稿した内容。植村氏敗訴を報じた産経新聞記事とともに、“植村記者と朝日新聞の捏造が事実として確定したという事ですね”と書き込まれました。その後の25日、東京司法記者クラブの幹事社宛てに、植村サイドから前総理の書き込みに抗議した旨のメールが届きました」

 発信元は「植村裁判を支える市民の会」事務局長。植村氏の代理人弁護士が、内容証明付き通知書を送付したことを知らせていた。

「もはや“運動”に」

 通知書を見ると、やけに攻撃的な文言が並んでいる。

〈投稿が通知人(植村隆)の社会的評価に与える影響は甚大であり、到底看過できません。よって、通知人は、貴殿に対し、本状到達後1週間以内に、本件投稿を削除するよう、強く求めます。誠意ある対応をお執り頂けない場合には法的措置を執らせて頂くことを申し添えます〉

 先の司法記者によると、

「植村サイドは、安倍さんの投稿は事実誤認で、名誉毀損、民法上不法行為だと言っています。一連の裁判では、櫻井さんらが“捏造”と書いた真実相当性、すなわち捏造と確信したことに相当な理由があると認められたものの、“記事が捏造だとは認定されていない”というのです」

 安倍前総理の書き込みは結局、通知書の“期限”前後に削除された。

「安倍さんの投稿にも脇の甘さがあったにせよ、植村さんのやり方はいただけない。敗訴確定で、矛先を変えて“逆切れ”した感があります」

 朝日新聞のOBは、次のように嘆息する。

「植村さんは『週刊金曜日』の社長兼発行人。自身の主張を展開できる言論機関を持つ言論人でもあるんだから、言論には言論で戦うのが筋です。なのにいきなり内容証明を送りつけて“消さなければ訴えるぞ”などとやるのは、言論弾圧にほかなりません。はっきり言って姑息。慰安婦誤報に関する彼の活動は、もはや“運動”になっていやしませんかね」

 前総理はその運動に屈した格好に見えなくもないが、関係者が明かすには、

「当の安倍さんは“別に屈しているわけではなく、煩わしいから削除した”とのことのようです。おおかた、面倒臭い人とは関わり合いになりたくないという単純な話でしょ」

 そんな空気を感じ取ったか、多くのメディアは植村氏と前総理との通知書バトルを黙殺。通信社1社と地方紙1紙が報じただけだった。

週刊新潮 2020年12月17日号掲載

ワイド特集「戦いのゴングは鳴った」より

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