スポーツ選手への「無邪気な応援」の怖さ 身体へのダメージ、セカンドキャリアの不備に無自覚な人々(古市憲寿)
昔から運動が嫌いだった。体育の授業はもちろんスポーツ観戦にも興味がなかった。その理由が最近、ある小説を読んで初めて整理できた気がする。渡辺浩弐さんのショートショートを集めた『2020年のゲーム・キッズ』(星海社)だ。
舞台は世界的に疫病が流行した2020年の、さらに後の時代。人々は物理的な接触を忌避し、最新テクノロジーを活用した「新しい生活様式」のもとで暮らしている。
「無観客試合」という作品がある。主人公は嫌われ役のボクサー。面白いのは、応援にまつわる状況である。...