“BTS法案”成立から考える 国家を挙げてのK-POP依存は、果たしていつまで続くのか

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法案をにらんで株価も乱高下

 男性アイドルグループ「BTS」は米国ビルボードで、メインのシングルチャートに続いてアーティストの知名度や影響力を示す「アーティスト100」でも首位を獲得した。2013年のメジャーデビュー以来、すでにその人気は世界的なものになったのは誰もが認めるところだろう。

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 中毒性があるリズムと圧倒的な歌唱力、磨き上げられたダンススキルで、世界を虜にするBTS人気に目を付けたのは、エンターテインメント業界だけではない。

 12月1日、韓国の国会が“BTS法案”を可決させたのである。

 韓国国籍を保有する男性は18~28歳の間に、18か月から22か月の兵役が義務付けられるが、この法案は、兵役開始を満30歳まで延期できるというものだ。

 K-POPアイドルが、海外活動で韓国にもたらす利益は莫大だ。

 世界で圧倒的支持を集めるBTSが人気絶頂のいま、メンバーが兵役に駆り出されて活動が中断するとその損失は計り知れない。

 だから、最年長メンバーのJINが28歳の誕生日を迎える3日前、あたかも駆け込むようにこの法案は成立した。

 国を挙げてK-POPを海外に売り出すのみならず、国がK-POPという大衆文化に依存している実態を浮き彫りにした、象徴的な法案と言えるだろう。

 BTSが所属するビッグヒットエンターテインメントは今年上場し、直後につけた高値から55%も下落していたが、11月に入ってじりじりと上昇を始め、底値から30%回復している。

 最年長メンバーの兵役による活動休止をタブー視した投資家によって売りこまれていた株式が、“BTS法案”成立に期待する勢力によって買い戻された結果と言えなくもないだろう。

K-POPアイドルという商品、彼らの行く末は

 日本でK-POPブームを作り上げてきたBOAや東方神起、BIGBANGらは、曲のコンセプトに合わせてビジュアルを自在に変え、常に新しい一面を提案し、ファンを魅了してきた。

 しかし反面、アイドルの自殺や事務所トラブルといった問題が後を絶たないのも事実である。

 絶頂期には睡眠時間を削り、過酷なダイエットに励む。

 昨年10月、女性アイドルグループ「f(X)」のメンバーだったソルリ(本名チェ・ジンリ)が25歳の若さで自殺。11月にも日本でも圧倒的人気を誇った「KARA」の元メンバー、ク・ハラが自殺して、ファンに衝撃を与えた。

 完璧が求められ、一度弾かれると中心には戻れない。加えて韓国に根付いている“外見至上主義”がアイドルたちに真正面から襲いかかる。

 10代から20代の若者が、私生活まで完璧を求められる毎日に耐えなければならないのだ。

 兵役義務がある男性グループはさらに短命にならざるを得ない。

 徴兵に駆り出される約2年の間、ファンが変わらず応援し続けてくれる保証などどこにもない。

 兵役から帰ってきたときにデビュー当時と比べて人気が落ちたと見られると(落ちるのが当たり前なのだが)、所属事務所は相手にしてくれず、生き残りのために路線を変えるか、業界を去ることになる。

 兵役から帰ってきて、従前の人気をキープできたか、転身が成功したアイドルは皆無と言っていい。

 したがって、所属事務所は、アイドルが活動出来る間に稼ぐことに必死になる。

 事務所や業界は新しいものをどんどん取り入れ続ける他なく、翳りが見えたら入れ替える。日本の芸能界も生き馬の目を抜くと表現されるが、それよりも明らかにアイドルの寿命は短い。

 世界を制したBTSを除いて、その運命からは逃れられないようだ。

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