41年前の松原みき「真夜中のドア」が世界で大ヒット 作曲した林哲司氏が語る“思い出”

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涙をポロポロ流して

 シングルの発売日当日に「夜のヒットスタジオ」(フジテレビ系)に出演したことで注目され、その年オリコンで最高28位に入り、30万枚のセールスを記録した。彼女の最大のヒット曲になった。

 林氏は、彼女に7曲提供していたが、こんなこともあったという。

「デビューして2年後、アルバムを制作するために、スタジオでレコーディングしていたのですが、僕自身がイメージした作品になかなかならなかった。歌に対するモチベーションが少し落ちたのかなと感じたので、彼女に『ちょっと緩くなっているんじゃないの』と軽く指摘したんです。するといきなり涙をポロポロ流して泣き出してしまい……。人間ですから浮き沈みはあります。プライベートでなにか辛いことがあったのかもしれませんね」

 林氏が最後に松原と会ったのは、2000年だったという。

「仕事場で偶然会って、立ち話をして、互いに元気なのかを確認しました」

 ところが、翌年彼女にがんが見つかり、闘病生活に入る。結局、04年10月、子宮頸がんのため44歳の若さで亡くなった。

 最後に今回のヒットについてこう語る。

「数年前から、訪日した欧米人や中国人が、80年代の日本のシティポップスのレコードを買い漁っているそうです。クールジャパンブームの延長線なのかもしれません。アート、ファッション、アニメと来て、次がシティポップスということでは。音楽界は、ここ30年間はアメリカがリードしていました。ラップやブルースが流行ったおかげで、メロディが不在となりました。メロディを口ずさめる曲を欲するようになって、日本のシティポップスが注目されたのではないでしょうか」

 発売元のポニーキャニオンは今後、『真夜中のドア/Stay With Me』(7インチシングル)と初のアルバム『POCKET PARK』(LPレコード)を同時復刻発売する予定だ。

週刊新潮WEB取材班

2020年12月14日掲載

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