“軍艦島弁護士”と呼ばれた文在寅、「3度目の敗北」は不可避に
従軍慰安婦、竹島、軍艦島問題
韓国で軍艦島問題は、従軍慰安婦や竹島と並ぶ大きな「反日テーマ」となってきた。
太平洋戦争当時、朝鮮人が端島に強制連行され、炭鉱内の劣悪な環境で労働に従事、日本軍から虐待を受け、日本人から差別を受ける奴隷だったと主張する。
2015年7月、端島などがユネスコ世界文化遺産に登録されると、韓国政府の「軍艦島たたき」が本格化。
韓国は「本人の意思に反して過酷な条件で強制労働させられた地域を産業の発達を記念する文化遺産に登録するのは納得できない」と主張し、ドイツ・ナチスがユダヤ人を強制収容した「アウシュビッツ」になぞらえて反発した。
これに対して当時の駐ユネスコ日本大使・佐藤地(さとう・くに)氏は「日本は1940年代、一部の施設で多くの韓国人やその他の国民が本人の意思に反して動員され、過酷な条件で強制的に労役(forced to work)した事実を理解できるようにする」とし、インフォメーションセンター設立など犠牲者を追慕する措置を取ると述べた。
世界遺産委員会もインフォメーションセンターで「全体の歴史を理解できるようにしなければならない」と勧告している。
しかし韓国は、日本政府が産業遺産情報センターで強制動員の事実を明らかにせず、履行状況報告書でも言及しないのは約束不履行だと主張するのだ。
世界遺産委員会の決議で、産業遺産情報センターの展示対象は「1910年までの歴史」と規定される。
しかし日本政府は、太平洋戦争中の状況を示す資料も展示するなど、勧告を忠実に履行したと主張。
日本は日韓関係が冷えこみ、韓国最高裁の徴用工賠償判決をめぐって対立するなか、韓国ではなく英国やオーストラリアなど第三国の専門家の助言を受けて、産業情報センターに展示したという。
「強制労働を意味しない」
岸田文雄元外相は2015年当時、佐藤元大使が発言した“forced to work”は「強制労働を意味しない」という立場を韓国外交部に示している。
韓国政府は当初、“forced labor”という表現を提示したが、日韓両政府の協議で“forced to work”を公式的な表現とすることで一致した。
「forced to work」は、戦時下などで国家から合法的、義務的に動員された徴用を意味し、「forced labor」は戦争捕虜や奴隷などの強制労働を意味しており、厳然たる違いがある。
日本政府は、戦時下という特殊な状況で、朝鮮人や日本人が本人の意思に反しながらも合法的な動員が行われたという韓国政府との協議結果に基づいて、「韓国人だけでなく、日本人も戦争に動員され、劣悪な環境にさらされていた」という内容を産業遺産情報センターの展示に適用したと言うわけだ。
韓国が根拠として示しているのは、佐藤元大使の2015年の発言と端島に連行されたと主張する生存者の証言、また、1944年7月31日に日本内務省管理局長に送られた報告書の「動員の実情は『拉致』のような状態で、夜襲、誘引などの各種方法を講じた人質略奪や拉致の事例が多くなっている」という一文である。
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