「マラドーナ」100億円の遺産争い 隠し子含めて11人の子供が
“神の子”ディエゴ・マラドーナが60年の生涯に幕を下ろした。世界中のファンを虜にした彼は、死してなお、別の形で注目を集めている。それは100億円ともいわれる遺産の行方である。
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ピッチ上で鮮烈な輝きを放つ一方で、クスリや酒に溺れ、女性スキャンダルを起こしては、幾度となくメディアの餌食となった。それでも愛され続けた不世出のスーパースターは、
「選手として稼いだ最高年収は、1991年、イタリアのナポリ時代の約6億円です。いまをときめくメッシの年収約131億円と比べればかなり少ないですが、当時としては破格でした」
と、スポーツ紙デスク。
「しかも、20年以上現役を貫き、プーマやコカ・コーラなどからのスポンサー料も莫大です。97年の引退後は指導者に転じ、母国アルゼンチン代表やUAEなどのクラブで監督を務め、それぞれ十数億円の収入を得ました。母国では不動産や株式の投資なども行い、テレビ出演も多い。生涯収入は数百億円に上るでしょう」
浪費癖も相当なものだったから、すべて残ったわけではない。南米在住のジャーナリスト、大野美夏氏によると、
「アルゼンチン紙『クラリン』やブラジルの新聞などでは、マラドーナの遺産は100億円ほどとされています。彼の両親はすでに他界し、いまは配偶者もいません。だから子どもが相続することになりますが、これが実にややこしい。2003年に離婚した前妻クラウディアさんとの間の2人の娘以外に9人、全部で11人の子どもがいると報じられているのです」
11人……。サッカーチームができるではないか。
認知をめぐって係争中
大野氏が続ける。
「マラドーナが認知していたのは、実娘を含めた5人。実娘以外の3人は、イタリア人やアルゼンチン人の元恋人が母親です」
認知した5人のほか、薬物依存治療のために00年から5年間滞在したキューバにも落とし胤(だね)が……。
「キューバ人女性との間に4人。さらにアルゼンチン人女性2人との間に1人ずつ、“隠し子”は都合6人と報じられています。その6人はいま、認知をめぐって係争中だそうです」
どうやら骨肉の争いは避けられそうにないが、
「認知されている娘さんたちは遺言があると主張しているそうですけど、はっきりしていないようですね」
と言うのは、アルゼンチン出身の元サッカー選手セルヒオ・エスクデロさん(56)。いまは埼玉県の「トリコロールFC」でジュニアユースの監督を務めている。実兄がユース代表でマラドーナとチームメイト、自らも10代のころマラドーナと練習したという。
「その縁で、大人になってからも家族や友人のパーティーにマラドーナが来ることがありました。とにかく気さくで、ダンスも歌もめちゃくちゃ上手。お酒を飲んで機嫌がよくなると、タンゴの『El sueno del pibe』をよく歌っていました。少年がプロサッカー選手になりお母さんに楽をさせてあげるという歌詞なんです。彼は家族思いなんですよ」
そんな“神の子”が残した相続問題は、複雑すぎてゴールが見えそうにない。