大臣室で現金を 大臣経験者から農水族重鎮へ 「鶏卵会社」捜査はどこまで広がるか

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“寸止め”捜査に落ち着く

 この永田町関係者が言うように、林氏は官邸による人事介入を当然ながらよしとしていなかったし、黒川氏の一件が世間の耳目を大いに集めた分、検察の不偏不党、正当性を検察トップとして世に訴えたいと思っていても不思議ではない。

「今回の捜査を本気でやれば、政権与党の中枢にいる人物にも切り込むことができるはずなんですが、そこまでは手を出さない。“巨悪を眠らせない”ことこそ特捜検察が旨とする信条ではないかと言われるかもしれませんが、あくまでも社会秩序を保った上でという留保付きのものですから、ある程度のところでストップする“寸止め”捜査に落ち着くことでしょう」

 さらに、

「アキタ側と関係していたのは何も与党議員だけではありません。野党のA、S、Tあたりの名前が差し当たって取り沙汰されており、そのうち報じられる議員もいるかもしれません。検察と言っても官僚機構であって、政府から予算を付けてもらわなければ立ち行かない。その点、捜査対象が与野党にまたがっていた方がバランスも取れているように見えて、政府与党から睨まれにくい。今回の捜査が“検察にとって都合が良い”というのは、こういった点からです」

 今後の捜査について、先の担当記者に聞くと、

「特捜部は吉川さんだけをターゲットにすることを法務省の刑事局に伝えているようです。裏返せば、それ以外の面々はお咎めなしだと。このことは刑事局から法務事務次官を通じて官邸に伝えられています。吉川さんの身柄を取る(=逮捕する)ことを決めたという話は聞こえてきませんが、可能性はないわけではありません」

 むろん、特捜部は安倍晋三前首相が絡む「桜を見る会」の捜査も担っている。

 もはや安倍氏は忖度する対象ではないものの、こちらは秘書らを在宅起訴して罰金刑で終幕と見られている。

週刊新潮WEB取材班

2020年12月11日掲載

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