「原監督」惨敗に巨人OB「広岡」「張本」らが辛辣コメント 「手も足も出なかった」

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 開幕延期に初の無観客試合と、コロナに振り回され続けた今年のプロ野球だが、それ以上に巨人ファンを落胆させたのは、日本シリーズでの歴史的惨敗。頂上決戦と呼ぶのが憚られる「原・巨人」の負けっぷりには、常勝軍団のOBたちも嘆息を禁じえないのだ。

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 原辰徳監督は今年9月に通算勝利数を1067勝とし、V9を達成した川上哲治元監督を上回る球団最多勝利を更新した。スポーツ紙には〈川上超え〉〈金字塔〉の文字が躍ったが、

「正直なところ、原采配は川上采配と比べれば月とスッポン。いまの原はとても名将とは呼べませんよ」

 そう喝破するのは、コーチ兼任選手として黄金期の巨人で活躍し、監督としてもヤクルトや西武を日本一に導いた広岡達朗氏(88)だ。

「原・巨人」は昨年、今年と日本シリーズでソフトバンクに8連敗。原監督に至っては、2013年の楽天戦を合わせてシリーズ9連敗で、巨人軍監督としてワースト記録という負の金字塔を打ち立てた。

 広岡氏が続ける。

「原が巨人の監督を降りた15年のオフに、私は電話でこう労(ねぎら)ったんです。“巨人で12年も監督を務めたのは立派なこと。これからは本当の名監督になるため、あえて弱いチームを育てて勝ってほしい”と。しかし、昨年、三たび巨人の監督に就任した原は、他球団の強打者ばかりを補強し続けました。強打者は細かなプレーが苦手。打線の役割に見合った選手を使うことこそが勝利の方程式なのにそれが分かっていない。捕手をローテーションで回すのも邪道です。ソフトバンクの甲斐のようにシーズンを通して起用でき、ピッチャーが安心して投げられる正捕手を巨人は育ててこなかった。他にも、左投手に対して、なぜ不利な左打者を代打に使うのかなど、選手起用には解せない点が多い。日本シリーズでこんな試合をするようでは原に野球を教える気も失せますよ」

 日ハムから巨人に移籍して、第1期・長嶋監督時代を支えた張本勲氏(80)は、「かねてより原監督の采配を認めている」としつつも、

「今後、名将と呼ばれるにせよ、この大敗で遠のいたと言わざるを得ない」

 と断じるのだ。

「私も巨人OBの端くれですから昨年の日本シリーズは“巨人勝利”と予想していましたが、今年は4勝2敗でソフトバンク勝利と考えていた。まぁ、2勝くらいはできるだろうと踏んでいたのですが……。結果は“4タテ”を喰らう体たらくですからね」(同)

敗北に学ばない

 なかでも、張本氏が首を傾げるのは第1戦4回裏の采配だ。2点ビハインドの巨人は、ノーアウト一、二塁の好機を迎えた。だが、5番の丸佳浩が最悪のゲッツーに打ち取られてしまう。

「ペナントレース前半に丸の打撃が悪かったのは事実。あの場面で丸に送りバントを指示して後続が1点返したり、同点に追いついていれば局面は変わっていたわけで、原監督の強攻策にはハテナマークがつきました。日本シリーズのような短期決戦で第1戦を落としたのは大きい」

 日本人初のスイッチヒッターとしてV9時代を守り立てた柴田勲氏(76)は、

「シーズン中盤まで調子のよかった巨人に対し、ソフトバンクはシーズン最終盤の10月に22勝を挙げた勢いのまま、日本シリーズに臨みました。巨人のクリーンナップから全く快音が聞こえず、エースがあれだけ打ち込まれては、誰が采配を振るってもソフトバンクの勢いは止められなかったと思います。川上監督は“日本シリーズで勝つにはラッキーボーイが必要”と話していましたが、今回のラッキーボーイは第1戦で菅野から本塁打を放ったソフトバンクの栗原でしょう」

 川上元監督の格言は、皮肉にも敵軍の勝利という形で裏づけられた。他方、長嶋元監督の参謀役として“メークミラクル”に貢献した河田弘道氏も手厳しい。

「原監督以下、コーチ陣もゲームの進行を茫然と眺めていたのが印象的。これは昨年の敗北から何も学習せず、マニュアルも準備していなかった証です。その結果、先制パンチを浴びると手も足も出なかった」

週刊新潮 2020年12月10日号掲載

ワイド特集「驕れる者」より

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