コロナ第3波で「マスク」最新事情 バブルに沸いた新大久保、コロナ前より安い店も…

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 新型コロナウイルスの「第3波」がやってきた。油断は禁物とはいえ、春の第1波の時に比べれば、マスク不足には陥っていない。むしろ“余裕”すらある状況らしく……流通アナリストの渡辺広明氏が、最新のマスク事情をレポートする。

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 コロナによる世界的なマスクの需要増によって、主たる生産国だった中国で原材料が高騰し、今年前半のマスク不足は生じました。これを商機と考え、マスクの生産に新規参入した中国の業者は数万社ともいわれています。こうした業者によって作られたマスクは日本の品質基準を満たさない商品も少なくなく、日本のドラッグストアで販売されることは、まずありませんでした。販売先は、独自のルートで仕入れることができる個人店が中心となりました。

 東京・新大久保は、そんな個人店が多いエリアのひとつです。私は、これまで数回にわたって現地を視察してきました。

 50枚入り税込価格の推移をご紹介すると、

【4月】3800円~3500円 → 【5月】2500円前後 →【6月】1400~900円 → 【9月】500円

 という値動きです。日本の品質基準を満たす商品ではないとはいえ、9月時点の「50枚入り500円」という価格は、コロナ以前の価格と同じです。バブル価格からおよそ半年で、値段は7分の1以下になってしまいました。

 そして、先日改めて新大久保を訪問すると、最安レベルでは、

【12月】399円~218円

 と、9月からさらに半額近くになっている店も。こうなると、もはや、コロナ禍以前より安い価格ということになります。

 なぜこんなに安くなったのか。マスクを取り扱っていた韓流ショップの店員によると、

「春からマスクを売るようになって、一度は仕入れた在庫は売り切れました。今売っている分は追加で仕入れた分ですが、タイミングを見誤りましたね。さばけないので原価で販売しています」

 箱詰めマスクは場所を取ります。他の商品の販売スペースを確保するためにも、はやく処分するしかないのでしょう。たとえ儲けが出なくとも、3~4月の仕入れ分を“現金化”できる最後のチャンスがいま、と踏んでいるのでしょう。

 もちろん、今後、第4波や第5波がくれば再び品薄になり、マスク価格が高騰する可能性もあります。バブルで参入した中国の業者も、儲からず廃業してしまったところも少なからずあるでしょう。生産量は一時期より減ってはいるはずです。

 一方で、コロナ当初と異なり、現在はマスクの日本国内生産化が進んでいます。各国も同様で、今年前半のような世界的なマスク不足の状況は、起こりにくいのではないでしょうか。

 今後の課題を挙げるとすれば、マスクの品質でしょうか。SHARP製のマスクはいまも抽選制での販売になっており、11月末の第32回抽選には、8万7000箱の販売数に、約900万人の応募と人気です(※ふつうサイズでの販売/応募数)。こうした特定の日本製マスクが欲しいという需要に、まだ供給は追いついていないといえます。

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