輪島功一が許せなかった「韓国人ボクサー」との一戦 リベンジを可能にした駆け引きとは(小林信也)

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 輪島功一は昭和18(1943)年、樺太で生まれた。1歳半で北海道士別市に移る。生活は貧しかった。小学校高学年になると、祖父母の家に養子に出された。

「小学校5年の頃から、イカ釣り船に乗って生活費を稼いだ。夕方から明け方まで一晩中イカを釣って、陸に上がると獲ったイカをさばいて干して。漁師さんは帰って寝るんだけど、オレはそれから学校さ」

 イカを釣るのは、上向きに針をつけた竿。

「名人は針を50本も60本もつけて一気に釣るんだ。オレは子どもだから最初は30本くらい。...

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