スウェーデン出身の“茶人”が通う「日本を代表するソムリエの店」 700種類のワインから料理に合うものをセレクト

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 好きな飲食店や好物の話を聞けば、その人の人となりが解るというもの。ゆえに「名は体を表す」ならぬ、「食は体を表す」なのである 。この企画では、外国籍の著名人の方々にご登場頂き、行きつけのお店をご紹介してもらいます! 意外なお店のチョイスに驚くこと必至! 彼らの食に対する感性と経験が垣間見えちゃうんです。第67回は、ブレケル・オスカルさん。今回は「マクシヴァン」に伺いました!!

 北欧はスウェーデンからやってきた、“日本茶の伝道師”ブレケル・オスカルさん。ハンサムすぎる面立ちに和装の取り合わせで、若い世代にも日本茶の魅力を“布教”する日々を送っているが、

「あんまりお酒を飲まないと思われるみたいですが、そんなことありませんよ。ビールもワインも大好きです」

 お茶の専門家ではあるけれど、“嗜好品”全般に興味があるのだという。自宅に8種類のワイングラスを備えているブレケルさんが、ワインの“師”と仰ぐのは佐藤陽一さん。「全日本最優秀ソムリエ」をはじめ、幾多の賞に輝く、日本を代表するソムリエである。

「友人に、『ワインの本を買うなら、佐藤さんのものを』と言われて。すぐにファンになってしまい、2年前に『マクシヴァン』に初めて来たんです」

 東京・六本木にある「マクシヴァン」は、佐藤さんがオーナーソムリエをつとめるワインレストラン。都会の喧騒を忘れさせる、落ち着いたインテリアが素敵である。

「ワインを飲んで“奥深い”“おもしろい”とはだれでも言えると思いますが、店全体でそのことを教えてくれるところって、実はそんなにないと思います」

 こちらではワインはソムリエにおまかせ。およそ700種はあるというワインの中から、料理に合う“とっておき”を提供してくれる。

 この日のアテは、「穴子のポートワイン煮込み ブルーチーズと香り高いトリュフ添え」。メインのワインはピノ・ノワール。少量を口に含んでは、じっと感慨にふける……。そしてゆっくりと切り分けた穴子をパクリ。

「こんな穴子、食べたことない。もう自分で料理するのやめようかな(笑)。口の中が、味覚の天国になっていますよ。一生忘れられない味ですね」

 幸せそうに笑うブレケルさん。

「そこそこおいしいものはたくさんあると思う。でも、まだ目覚めていない味覚があるはずです。そういうものに出逢うのは、狭い部屋からきれいな庭に出るのとおなじ感覚じゃないかな」

 新たな舌のよろこびを見つけだせるかどうかは、アナタ次第です。

週刊新潮 2020年12月3日号掲載

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