渡部謝罪会見 「もっとこうすればよかった」危機管理コンサルタントは厳しい評価
“許されない謝罪”とは
不倫が報じられてから約半年、ようやく謝罪会見という形で公の場に現れたアンジャッシュの渡部建(48)。
その会見の評価はすでに多くの人が語っているが、危機管理コンサルタントの目にはどう映ったか。数多くの企業の危機管理に携わってきた株式会社リスク・ヘッジの田中優介代表取締役は、著書『地雷を踏むな 大人のための危機突破術』で、「許されない謝罪」として以下のものを挙げている。
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(1)遅い謝罪
(2)時間足らずの謝罪
(3)あいまいにボカした謝罪
(4)言い訳や反論まじりの謝罪
(1)については言うまでもない。半年かかったことで傷を大きくしたのは間違いないだろう。
(2)については、時間無制限という設定にして100分という長丁場に臨んだのでクリアしたということになる。(3)(4)も週刊文春の報道をほぼすべて認めたという点ではクリアしているようにも見える。
こうなると、4分の3はクリア。すなわち危機管理的に見た場合、十分な謝罪会見だったということになるのだろうか。
企業の謝罪会見のアドバイスも手掛けてきた田中氏に、改めて評価を聞くと、第一声は「あまり意味のない、効果の薄い会見だったと思います」と手厳しい。
どこがまずかったのだろう。
“冒頭の言葉”の重要性
「いまさら言っても仕方ありませんが、多くの人が指摘するように遅すぎたのは否めません。
その点を除いても、『犯した罪の意識が甘い』と世間に受け止められかねないところがありました。
たとえば冒頭、『大変軽率な行動』という言葉を使っています。確かに軽率なのですが、それでは片付けられない悪質な行動だと受け止めている人が多いからこそこういう状況になっているのです。
『奥さんが子育てで大変な時に、トイレで人間の尊厳を踏みにじるような行為をした』と怒っている層が確実にいる。そういう人にとって『軽率』≒『軽はずみ』といった表現は甘すぎるように感じられるでしょう」(田中氏)
会見の中では「最低の行為」「卑怯」等、より厳しい言葉も使っていたのだが、冒頭の言葉の重要性をあまりわかっていなかったのかもしれない。
「もう一つ気になったのが、『何十年後に振り返って、この騒動があってあなたよかったんじゃないの』という言葉を奥様からかけられた、というエピソードを紹介したところでした。
これはあくまでもよく出来た奥様が、彼を気遣って言った言葉に過ぎません。事実であっても、彼自身がそれを肯定して言ってしまうと、本人も『いい勉強になった』という感じで軽く見ているように受け止められかねないのです。
さらに、自粛期間はあったものの、どういう『罰』を自らに課したかが見えてこなかった点も痛いところですね。多くの人は、彼が半年休んだところで生活には困らないと見ているでしょうから。
もちろん、実際には彼は刑事事件を起こしたわけではありません。トイレの不適切な使用は悪いことですが、それ以外は基本的に彼の家族や人間関係の問題だという考え方もできます。
ただ、わざわざ謝罪会見をやるのならば、視聴者の側が『視聴者よりも渡部さん本人がこの事件を一番重く受け止めているな』と感じてもらわなければならない。そこが最重要ポイントなのです。
そこを今回はクリアできていなかったように思います」(同)
「心の傷は妻から一生消えない」ということを強調すべき
仮にコンサルタントとして相談を受けていたらどうアドバイスしただろうか。
「ともかくもっと早い段階で、というのが前提になるのですが、仮にこの会見の直前、依頼を受けたら、以下のようなことを伝えたでしょう。
・『大変軽率な行動』ではなく『非道な行動』くらいの言葉を使ってください。
・『この心の傷は妻から一生消えない』ということを強調すべきです。
・再発防止策と贖罪を伝えるべきです。たとえば、次のような具体的な話です。
『妻から離婚届に捺印することを求められ、それに応じました。それが提出されるか否かは妻の一存に委ねられています。今後、何か少しでも不信感を抱かせてしまったら提出されてしまうでしょう。同時に、離婚する時にはすべての財産を妻に渡す旨の公正証書を、自ら書いて渡しました。私はすべてを失うことになります』
このくらい具体的なエピソードや対応策を語られたら良かったのではないでしょうか」(同)
ネット上の反応などを見る限り、取材陣への反発や渡部への同情のコメントも少なくはない。そうした声が増えるかどうかが、今後の活動を左右するのだろう。