韓国で「背伸びして身の丈に合わないクルマに乗る貧困者」が後を絶たない理由
韓国人の“恥ずかしい”消費心理を巧みに
仁川空港や金浦空港に到着した外国人が皆一様に驚くことがある。さまざまな種類の輸入車が並んでいる光景だ。韓国人が特に金持ちなのではなく、虚勢と見せかけの消費に満ちた現状を物語っている。韓国の輸入車消費は米国と中国に次ぐ多さで、メルセデスベンツの「Eクラス」は発売開始から8万台以上が売れ、BMW7シリーズの販売量は、グローバルで常に上位にランクされている。
いつの世にも、人生のすべてをスーパーカーに捧げる人達がいる。
もっとも、「自動車マニア」「カー・エンスージアスト」の彼らは、韓国の「カープア」、すなわち、「ムリしてクルマに乗る貧困者」とは大きく性格が異なる。
韓国のカープアにとって、輸入車はうわべを繕うアクセサリーに過ぎない。
韓国は世界的に見ても自動車を容易に購入できる構造になっている。
多様な金融プログラムや割引があり、車庫証明のような特別な条件はない。
BMWやアウディなどの最新モデルをいち早く購入でき、いまは人気が落ちたが、維持費が安いディーゼル車も輸入車の購入を容易にした。
輸入車マーケティングは、韓国人の“恥ずかしい”消費心理を巧みに利用する。
韓国人は自身の嗜好より、他人が自分をどう見ているかを意識して、自分の経済水準に合わない消費を日常的に行なっており、ブランド品と輸入車の販売は常に不況とは無縁だ。
新型コロナウイルスの拡散以降、世界のブランド品や自動車消費は大きく後退したが、その影響は韓国では見られない。
韓国4大デパートの現代、新世界、ロッテ、ギャラリアが発表した今年6月までのブランド品の売り上げは、多いところは昨年比で39.4%、少ないところでも24%以上も増えている。
「韓国で小さい車は無視される」という理由
輸入車もしかり。韓国で特に人気が高いBMW、メルセデスベンツ、アウディなどは月平均2,000台から7,000台以上売れている。
多彩なプロモーションとリースプログラムで、BMWやアウディに関しては、「定価で購入するのは馬鹿らしい」といわれるほど高い割引制度があるのだ。
これら3つのブランドが輸入車市場の40%近くを占めており、まさに虚勢に満ちた韓国人の消費心理を表している。
韓国の経済規模や平均所得水準を考慮すると異常といえ、世界にも類を見ない販売台数なのだ。
あるプロジェクトで出会った20代のスタッフは中古のBMW320dを分割払いで購入、毎月の支払額は所得の70%になるという。
裕福ではなく貯金があるわけでもない。
そのスタッフは社会に出たばかりで、所得は決して高くはないフリーランスで、地方から上京し、ソウル郊外の家賃30万ウォン(約2万8000円)の駐車場がないワンルームに居住している。
筆者は所得を考慮して小型車や軽自動車を薦めたが、「韓国で小さい車は無視される」という理由から輸入車を購入した。
高価な車を保有すれば恋愛機会が増え、プライドを維持できるとさえ話したのだった。
中古車を分割払いで購入する際の年利は20%以上である。
1100万ウォン(約100万円)の中古車を分割払いで購入すると、1年間で220万ウォン(20万円)以上の利子を負担することになる。
自動車税や保険、その他の維持費とガソリン代も必要だ。
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