MISIA「骨折事故」で責任逃れのTBS “謝罪なし”の文書を書き直し
突然走り出す馬、声にならぬ悲鳴が馬場に響く。刹那、転落したのは国民的歌姫――。気丈に振る舞う当人と対照的に、重傷を負わせたテレビ局はまさかの逃げの一手を打ち、紅白出場まで危ぶまれ……。以下は彼女の「奇跡の声」を奪った落馬事故、その全内幕である。
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昨年の大晦日、NHK「紅白歌合戦」で紅組のトリを務めた彼女はLGBTQを象徴するレインボーフラッグをステージに掲げ、ドラァグクイーンのダンサーと共演した。
ドレッドヘアの印象的な外見と歌声が耳目をひく一方で、歌手のMISIA(42)は「紅」でも「白」でもない人々へ思いを馳せ、性的少数者や社会的なマイノリティへの支援を続けてきた。今回の事故はそうした活動を取材する最中に起きてしまったのだ。
小川彩佳アナがメインキャスターを務めるTBS「NEWS23」のクルーがMISIAを取材すべく、東海地区にある乗馬クラブを訪れたのは11月15日だった。
芸能記者が解説する。
「TBSでは11月23日から29日まで社を挙げて、『地球を笑顔にするweek』と題してSDGs(持続可能な開発目標)に関するキャンペーンを行っています。企業スポンサーをつけ、SDGsが掲げる環境破壊や差別問題などの解決に向け、同局の番組で取り上げるのです。MISIAさんへの取材もその一環でした」
MISIAは長年にわたり、スペシャルオリンピックスという、知的障害のある人々にスポーツ活動の場を提供する団体を支援している。
スペシャルオリンピックスは1968年にJ・F・ケネディ元米大統領の妹が設立した国際組織。日本で同団体は公益財団法人として都内に事務局を置き、バルセロナ五輪銀メダリストの有森裕子氏が理事長を務める。陸上競技や球技、スキーなどの冬季競技に至るまで多種目の競技会やプログラムを主催。そこには馬術も含まれる。
MISIAは10年以上前にスペシャルオリンピックスの関係者を通じて障害者馬術に出会い、自身も乗馬を始めたという。2014年にはこの団体の応援ソングを歌い、仕事としても関わるようになる。当日はその障害者馬術について、取材を受ける予定だった。
「番組では知的障害者との乗馬の様子を取材し、MISIAさんへのインタビューを行う段取り。小川アナも現場入りし、インタビュアーを務める力の入れようでした」(同)
当日の様子について、番組関係者が囁く。
「まずは馬場でMISIAさんと知的障害を持つ女の子がゲームを行いました。コースにジグザグの形でコーンが置かれ、女の子が乗った馬とMISIAさんが乗った馬が競走するというもの。競走といっても、歩くくらいのスピードでした。そして、ゲームを2回終えると、女の子が“もう1回やろう”となった。それならもう1回だけと3回目のゲームが始まったのです」
その最中に事故は起きた。
「馬場の奥にあるスペースで番組スタッフが、後に予定されるMISIAさんのインタビューのためにカメラ周りや椅子のセッティングなどの準備を始めたのです。すると、近くを通ったMISIAさんの馬がそれに驚いて突然、スピードを上げてしまい、制御不能に。彼女は落馬し、体を地面に強打してしまいました」(同)
実は、このゲームを始める前、スペシャルオリンピックスの馬術担当トレーナーはディレクターらに、「馬は敏感な生き物。マイクを向けたり、人が急に動くと驚いてしまう。競技中は動かないでくださいね」とレクチャーしていた。にもかかわらず、その指示を無視した形でスタッフは準備を始め、結果、落馬へと繋がってしまったのだ。
謝罪が全くない
国民的歌手が馬から転落する様子に現場は騒然。MISIAは痛みをこらえて立ち上がり、毅然としていた、と関係者が続ける。
「女の子の方は落ちなかったけれども、大変なショックを受けていました。不安そうにしていたのを心配したMISIAさんはその子に駆け寄り、“大丈夫?”と声をかけていた。MISIAさんは一旦、控室に戻ったものの、本人の意向で小川アナのインタビューは受けることになりました」
しかし、痛みは引かず、翌日の月曜日に病院で診察を受けたところ、診断は背骨の第6、第7胸椎棘突起(きょうついきょくとっき)部の骨折で全治6週間の重傷だった。
さる整形外科医によると、
「胸椎とは背骨の首から下、腰より上の部分を指します。棘突起部とは背中を触った時にあるゴツゴツしたところ。第6、第7なら胸の高さにある骨と考えればよいでしょう」
今年の「紅白歌合戦」出場も決まり、12月5日と6日には神戸と大阪でコンサートも予定。事務所サイドは重傷と分かった時点で、いち早くリリースして対応しようとした。ところが、実際にTBSが事故を発表したのは、19日の木曜日になってからだった。しかもその内容は、
〈当該の馬は調教されており、乗馬している人がコントロールできる状態にあったとのことでしたが、MISIAさんが怪我をされることになってしまいました。取材クルーの動作や機材の存在が刺激を与えることになったのであれば、誠に申し訳なく、心よりお詫び申し上げます〉
コントロールできなかったMISIAが悪いと言わんばかり。詫びてはいるものの、まるで自分たちに非はないと主張するかのようだった。
「同日夜の『NEWS23』で小川アナは真摯に謝罪をしていましたが、局の発表との乖離に“謝りたいのか、謝りたくないのか、どちらが局の本音なのか”と話題になりました」(前出・記者)
責任逃れの狙いも透けるこの発表までの4日間、裏では何が起きていたのか。
TBS関係者が言う。
「実は、診断を受けた次の日に番組のチーフプロデューサーが事務所に謝罪。発表については事務所と局が同じタイミングで公にするということになりました。しかし、ウチの関係各所に確認を取らねばならず、リリースの文案を作るまでに時間がかかったのです」
その第1案が出来上がったのは18日水曜日、午後の早い時間だった。
ところが――、
「ウチに落ち度があるのは明らかなのに、非を認めるどころか、文案にはMISIAさんへの謝罪が全くなかったんです。結果、事務所サイドから『書き直せないか』と突き返されてしまいました。そして、書き直したものが発表された文面。なおも自分たちの責任を回避するかのような言い回しに、事務所の方は不快感を示されていました。しかし、局の上層部やコンプライアンス部門も確認しており、これ以上は直せない。仕方なくそれを事務所にのんでもらったのです」(同)
リリースと同時に、事務所からは12月に予定されていた二つのコンサートの中止が発表された。
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