コロナ第3波「11月末にピーク越え」 第2波のピークを的中させた研究者が予測
「目玉焼きモデル」
コロナ第3波の到来を受け、不安に駆られている方も少なくないだろう。しかし、感染の拡大と収束のスピードを測る「K値」を考案し、第2波の際にピークを的中させた大阪大学の中野貴志教授は、11月末にすでにピークを迎えたとの予測を明らかにした。
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京都大学ウイルス・再生医科学研究所の宮沢孝幸准教授は言う。
「感染者数の上昇は、最初は急激でもスピードは徐々に鈍化します。実効再生産数Rtで見ると、全国レベルではすでに減少に転じていて、北海道では現時点で感染のピークはすぎています。自粛しないと感染拡大のスピードは落ちない、というのは誤解です。GoToトラベルを止めても、収束スピードはおそらく変化しません」
それを説明すべく、宮沢准教授が考案したのが「目玉焼きモデル」である。
「五つの同心円を描き、真中をゾーン1、外側に向かってゾーン2、3、4、5とします。各ゾーンは場所かつ状況です。ゾーン1はどんちゃん騒ぎをする飲み屋など。ゾーン2は家庭内感染など。ゾーン3は一般人エリアで、ゾーン4はかなり防衛している人、ゾーン5は引きこもり。感染拡大の火が点くのはゾーン1で、それがゾーン2に飛び火しますが、ゾーン3以遠で鎮火します。いまはゾーン2の家庭内感染が主戦場なので、ここに対策を打てばよい。火はゾーン3に入ると徐々に消えていき、ゾーン4や5では全然広がりません。多くの人が過剰なほど防衛している日本では、ゾーン3~5がとても広く、1と2が狭いのです」
立憲民主党の枝野幸男代表は「GoToトラベル」の見直しを求め、政府が見直す意向を示すと「泥縄式だ」と批判した。だが、そもそもが「泥縄式」になる必要すらないという。
「“不要不急の外出を減らしてください”と言っても、ゾーン3~4の人を5に押しやるだけで、ほとんど無意味。GoToトラベルもゾーン3~5で温泉やお花見、ショッピングを楽しんでも、なんの問題もありません。むしろ、経済活動をしているゾーン3、4を5にしてしまえば、経済的に大変なことになります」
「GoTo」大都市を外せば4800億円の損失
第一生命経済研究所首席エコノミストの永濱利廣氏が補足して説明するには、
「GoToキャンペーンが当初の予定通り、来年1月末まで続けば、ホテルや飲食店などの直接経済効果は約2・1兆円。関連会社や関連産業を含めた波及経済効果は、約4・0兆円と想定されていました。それが大都市など感染の多い地域が除外された場合、4800億円以上のマイナスになると予想されます」
せっかく動き出した経済に進んで水を差すとは、目を覆わんばかりに愚かしい。宮沢准教授の話に戻る。
「春も感染拡大スピードは3月16日ごろに落ちはじめ、すでにゾーン3に入っていた。それでも4月7日、緊急事態宣言を出し、ゾーン3や4の人を5に押しやったので、経済が深刻なダメージを受けた。感染はその前にとっくにピークアウトしていたので、巣ごもりしたから感染拡大が止まったというのは事実誤認です」
当時の専門家会議も5月29日、緊急事態宣言発出前の4月1日ごろが「感染のピーク」だったと認め、「現時点での評価を行い、今後に生かす必要がある」と説明していたのだ。ところが、その学びが少しも生かされていないのである。
「すでにピークを越えた」
大阪大学核物理研究センター長、中野貴志教授の予測も聞こう。感染の拡大と収束のスピードを測るメーター、「K値」の考案者である。ボールを投げた瞬間のスピードがわかれば、いつ落ちてくるかがわかるのと同様、新型コロナの感染状況も予測できる――。そう仮定して各国の状況を分析すると、みな一定の速度で減衰していたという。ちなみに、いわゆる第2波が7月下旬にピークを迎えると予測し、見事当てている。
「第1波とくらべ収束スピードは落ちています。人々が以前よりリラックスして行動している、寒くなるとウイルスに感染しやすくなる、ということが要因でしょう。結果、3月、4月の収束スピードを1とすると、いまは0・8や0・7にしたほうがモデルとデータがフィットする。仮に0・8とすると、新規感染者数が東京は11月25日、大阪は27日にピークを迎えます。0・7と仮定すれば、東京は11月29日、大阪は12月2日になります。発表される感染者数は、2週間前に感染した人の数。11月末前後で感染者数のピークを迎えるということは、予想が正しければ、感染ベースではすでにピークを越えたということです」