シャインマスカット、フジ…韓国の「日本産農作物」パクリ栽培、輸出妨害の目に余る実情
シャインマスカットの無断栽培
種苗法改正案が、衆議院を通過して参議院に送られた。日本品種の農産物が無断で中国や韓国に流出し、安価な中韓産が東南アジア市場で流通、日本の輸出に影響が出ていることにクサビを刺すものだ。
現在、自家増殖した登録品種の海外持ち出しは禁じられているが、商品として販売されている苗の海外持ち出しは、合法となっている。
農林水産省は、今年7月、中国と韓国で販売されている日本品種の種苗を調査し、9月までに輸出重点品目737品目のうち36品種が、開発者の了解がないままインターネットで販売されていたことが判明した。
流出した品種か、名称のみ真似たかは不明だが、名称のみの場合も、低品質な農産物に使われると、日本ブランドのイメージが損なわれる恐れがある。
高級ブドウのシャインマスカットは、韓国と中国で無断栽培されている。
シャインマスカットは農研機構が30年かけて開発した。
1999年から2002年まで全国で特性が検討され、2006年に品種登録を行ったが、輸出を想定していなかったことから国外での品種登録は見送られている。
ブドウの海外登録は植物の新品種の保護に関する国際条約(UPOV条約)で、自国内登録から6年以内に行うことが定められている。
日本がその間に登録を行わなかったため、期限がすぎた2012年以降中国と韓国で“合法的”な無断栽培がはじまった。
中国産シャインマスカットは値段が安いが味が劣る。
韓国産は日本産と比べて味が劣るが中国産よりは良く、値段も日本産と中国産の中間だ。
韓国農水産食品流通公社aTは2017年、中国に売り込み、輸出先をアジア各国に拡大した。
2019年、韓国は2300万ドルのブドウを輸出したが、その72・4%がシャインマスカットだったのである。
韓国は世界各国と自由貿易協定FTAの締結を進める一方、日中韓FTAは2004年の協議を最後に中断している。
日本が韓国から輸入している主要品目の関税は、多くはゼロか低率で、韓国は高い関税を課している。
高率課税で輸入を制限し、また輸入自体を禁止している品目もある。
リンゴの「フジ」は輸入を禁止する一方、輸出促進品目となっている。
フジは1930年代後半、農研機構の青森県の試験場で育成され、1962年に品種登録が行われた。日本の収穫量の半数を占めるほか、米国、韓国、中国など「富士」の名で生産されている。
リンゴは原木から採取した枝を接ぎ木して増殖する。その原木は農研機構の前身である農林省園芸試験場東北支場の移転に伴い、1961年、岩手県盛岡市に移植された。
リンゴの輸入を禁止する韓国は、「フジ」を「シャインマスカット」とセットで東南アジアに輸出している。
ベトナムなどでは、中国産より美味しく日本産より安い韓国産のシャインマスカットとフジは人気があり、日本の輸出を阻んでいる。
輸入規制
韓国は輸入緑茶に40~513・6%の高い関税率を課している。
高税率と噂される日本酒の関税は15%で、酒税等を合わせた実効税率は約53%となっている。焼酎の関税は30%で、酒税等を合わせると110%を超えるが、緑茶はこれをはるかに上回る。
日本の緑茶は最澄や空海など留学僧が唐から持ち帰ったのが最初といわれ、鎌倉時代、栄西が宋から種子を持ち帰って以降、仏教寺院や武士階級を中心に広まった。
韓国にも新羅時代に伝わったが、朝鮮時代の仏教排斥に伴って下火になった。
いまは日本が韓国を統治した1930年代に持ち込んだ「やぶきた種」が主に栽培されている。
やぶきた種は1908年、静岡で開発され、静岡県が奨励品種に指定した1955年以降、急速に広まった。
食材の味が損なわれるほど混ぜるのが好きな韓国人は、茶の味を理解できないのか、1988年、東西食品が玄米と混ぜ合わせて販売を開始した「玄米緑茶」が主流である。
関税も玄米緑茶の普及に一役買った。1980年代、韓国政府は国産茶を保護するため輸入緑茶に60%の関税を適用した。その後、最高税率を513・6%まで上げたが、一定割合の玄米を加えた玄米緑茶は40%に引き下げた。
現在、済州島や全羅南道などで栽培されている韓国産緑茶に旨味はなく、ミルクと砂糖を混ぜ合わせた「緑茶ラテ」も人気を得ている。
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