「白鵬」「鶴竜」に横審が最後通牒 ズル休みと言われてしまう美学なき横綱の胸の内
11月23日、横綱審議委員会(横審)は、3場所連続休業した白鵬(35)と鶴竜(35)の両横綱に「注意」を決議した。横審が「注意」を決議したのは史上初。来年の初場所に出場しないと、「引退勧告」になる可能性があるそうで、2人に事実上の「最後通牒」を突き付けた形だ。
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両国国技館で行われた横審の会合では、全8人の委員のうち、出席した6人全員一致で「注意」が決まった。決議事項には、厳しい順から「引退勧告」「注意」「激励」がある。2018年の九州場所で初日から4連敗して途中休場した稀勢の里に「激励」を出したが、今回はそれより重い「注意」である。
今回、白鵬と鶴竜の過去2年の12場所を検証したという。両横綱とも、休場したのは8場所で、全休(初日不戦敗も含む)も4場所ずつある。
白鵬が横綱になったのは、2007年7月場所である。以来、79場所で15回休場。うち全休したのは7場所。鶴竜は、39場所で17回休場、うち全休(初日不戦敗も含む)は7場所。横綱になって半分近くの場所で休場していることになる。
「横審が『注意』決議をしたということは、来年の初場所に出なかったら『引退勧告』するということです」
そう解説するのは、ベテラン相撲記者だ。
「白鵬は44回優勝して、体力的にもピークを過ぎました。本来ならもうとっくに引退していてもおかしくありません」
東京五輪で土俵入り
「なぜ横綱を続けているかというと、東京五輪で開催される『大相撲東京2020オリンピック・パラリンピック幕内トーナメント』で、横綱の土俵入りをしたいからです。白鵬の父親は、モンゴルレスリングの選手で、メキシコ五輪で金メダルを取り、モンゴルレスリングを世界に知らしめたことがある。父親と同じように、相撲を世界に発信させたいという願望があるんです」
五輪が来年に延期になったため、来年まで現役を続けるというわけである。
「横綱を続けるために、休業して力を温存しているのです。というのは、貴乃花が7連続休業したことがあるし、稀勢の里にいたっては8連続休業という前例があるからです。だったら、3連続休業したって、問題ないだろうと白鵬は思っているのでしょう」(同)
白鵬は、先場所右膝の回復が思わしくないというのを理由に休場した。
「7月場所で右膝半月板や膝蓋大腿靭帯などを損傷し、13日目から休場。8月に右膝の内視鏡手術を受けています。9月場所は全休となりましたが、今はほとんど回復していますよ。実は、10月16日から22日にかけて、相撲教習場で彼を含め関取が10人稽古をしました。貴景勝、正代、高安らが参加しています。白鵬は、正代と15、6番稽古して、一度も負けませんでした。元気バリバリなんです。あの稽古を見ただけでも休業する必要はないのは一目瞭然。誰もが11月場所に出ると思っていました。こんな調子ですから、先場所はズル休みじゃないかという声が出てしまうんです」(同)
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