事件現場清掃人は見た 両親を亡くし、孤独死した30代女性のあってはならない話
「トイレに腰かけたまま白骨化」
単身世帯の増加で誰にも看取られずに亡くなる“孤独死”は、年間3万2000人にも上るという。現在、単独世帯数は全世帯数の27%だが、今後増加傾向にある。孤独死もますます増えそうだ。問題は、孤独死した後、何日も経過した場合、遺体は悲惨な状態になり、部屋も汚れる。そんな部屋の原状回復を専門に行う人たちがいることをご存知だろうか。
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長い間放置された遺体によって汚れた部屋を原状回復させるのは、一般に特殊清掃人と呼ばれる人たちだ。孤独死は、警察では“変死”扱いになるため、事件現場清掃人とも言われる。
「現場では、強烈な腐敗臭や感染症から身を守るための防護ゴーグルと防毒マスクは欠かせません」
と解説するのは、事件現場清掃会社の高江洲(たかえす)敦氏。同氏は、11月26日に『事件現場清掃人 死と生を看取る者』(飛鳥新社)を出版する。
「作業をする際の衣服は、感染症などを防ぐタイベックと呼ばれる白い防護服が一番適しています。ただし、これを着てマンションなどに行くと、近所の人がびっくりします。そのため、雨合羽を着用し、手にゴム手袋、靴はビニールのカバーで覆います。雨合羽とゴム手袋の隙間は細菌などが入らないように養生テープで塞ぎます」
最初は、嫌々ながら
高江洲氏がこの仕事を始めたのは、2002年のことだ。
「25年前に、ハウスクリーニングの会社を創業したのですが、なかなかうまくいかなくて……。従業員も離れていきました。さて、どうしようと思っていたら、葬儀会社の関係者から、人が亡くなった後の清掃と消毒はできないかと依頼があったのです」
そこで、とりあえず現場を見に行ったという。
「汚れた畳などがすでに処分されて、臭いだけが残っていました。これくらいなら何とかなると思い、引き受けたのです。その時は、殺菌や消臭効果のある木酢液やハーブを使って臭いを消しましたが、今考えると、ずいぶんいい加減でしたね」
これまで、特殊清掃の仕事を3000件以上請け負ったという。そのうちの7割が孤独死という。
「最初は、嫌々ながらやっていました。そのうちに、遺族の要望に応えられるのは自分しかいないと思うようになり、04年に『事件現場清掃会社』を設立したのです。当時、事件現場を専門に清掃する会社はうちの他に埼玉県に1社あるだけでした。それ以外は、便利屋が請け負っていたようです。費用は、ごみなどの撤去を含めて、1件あたり30万円前後ですね。一軒家でゴミが大量にあった場合には、100万円を超えることもあります」
なぜ、事件現場清掃会社と命名したのか。
「当時、アメリカには『犯罪現場清掃会社』というのがあって、その会社の本も出版されていました。それにヒントを得たんです。アメリカは銃社会ですから、犯罪現場は日本とは違います。頭を撃たれた場合、砕けた頭蓋骨が壁に刺さったりするので、補修業務もやっているそうです」
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