プロ野球「日本シリーズ」のチケット転売横行 正規価格の10倍以上も 規制強化を

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球団公認の等価でのリセール

 一方、近年では、年間の席を一括購入するシーズンシート購入者を中心に行けない試合のチケットを転売したいという声や、正規販売で完売したチケットをどうしても入手したいという声の高まり等を背景に、各球団公認のリセールの仕組みを導入すべきとの議論も高まっている。

 さらに、先述したチケット不正転売禁止法が施行されたことで、以前までは法的にもグレーだった転売行為が明文化されるなど、リセールの仕組みを導入する上での環境整備も進んできた。

 このため、一部の球団は今年から、特定のチケット転売サイト運営会社と契約し、球団公認でのリセール、実質的な転売行為を認めるようになった。

 だが、これらの球団公認のリセールの仕組みは、本来の販売価格と等価での転売を認めているにすぎず、利益を得る転売が禁じられている現状に変わりはなく、法的にも倫理的にも高額転売が許されないのは言うまでもない。

購入者側もモラルを

 それでは、悪質な高額転売を防ぐにはどうすればいいのだろうか。

 まずは、購入者側の意識改革が不可欠だろう。

「合法な転売仲介サイトで購入しているのに何が悪いのか」。

 NPB関係者によると、転売チケットを購入して球場を訪れるファンの典型的な主張はこうしたものだという。

 確かに、合法的に売られているチケットを自らの金で買ったのだというファンの主張は理解できなくはない。

 ただ、先述した通り、プロ野球チケットの転売行為は、法律違反にあたるだけではなく、試合観戦契約約款違反にもあたり、多くのファンの公平公正な試合観戦の機会を奪うことにもつながりかねないのだ。

 転売チケットを買う行為は、悪質な転売ヤーの片棒を担いでいるともいえ、購入者側にもモラルが求められる。

 とはいえ、モラルがないファンは当然出てくるわけで、やはり抜本的に高額転売を防ぐ仕組みを構築する必要がある。

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