沖縄タイムスは“詐欺で逮捕の元社員”をネット上で匿名報道 批判殺到にどう答える?

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 11月13日、沖縄タイムスの元社員、牧志秀樹容疑者(45)が、新型コロナの影響で売り上げが減った事業者を支援する国の「持続化給付金」を詐取したとして詐欺容疑で逮捕された。テレビ局や新聞各紙はこれを一斉に報じた。ところが、当の沖縄タイムスは、ネット上では“元社員”としか報じていないのだ。

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 高度な倫理観が求められる新聞社にとって、社員が詐欺で逮捕されるなんてあってはならないことだ。しかも「持続化給付金」を騙し取るとは、さらにトンデモない話だ。事件の概要を、改めて説明しよう。

 牧志容疑者は、6月23日から7月27日にかけて、知人男性の助言を受けて「フリマ雑貨」と虚偽の職業を記載して持続化給付金を申請、100万円を受け取った。当時は、沖縄タイムスの総務局付課長だった。さらに、緊急小口資金と総合支援資金計80万円も不正に借りていたという。また、関連会社のタイムス印刷の30代の男性社員は、緊急小口資金20万円を不正に借り入れていたという。

 彼には、1000万円を超える住宅ローンや投資の失敗などで、約6000万円の借金があった。

 さらに、自ら不正に受給、借り入れしただけでなく、約40人の不正な受給、借り入れに関与した可能性もあるという。正直言って、救いようのない男だ。

TBSは直撃映像を放送

 9月12日、沖縄タイムス社に外部から「社員が不正受給に関わっている」と指摘があり、事件が発覚。牧志容疑者と関連会社の社員は自宅待機を命じられ、10月8日、2人は懲戒解雇となった。そして、13日、牧志容疑者だけが逮捕されたのである。

 新聞社の現役社員が国の金を詐取するというあってはならない事件を、逮捕直後にマスコミは一斉に報じた。もちろん、「牧志容疑者」と実名で、だ。

 だが、沖縄タイムスは13日の紙面で1度だけ牧志容疑者を実名で報じたのみ。ネット記事では全て「元社員」とした。

 ちなみに他社は、ネット上でも実名で報じている。

 TBSは車に乗っていた牧志容疑者を直撃、「なぜ(不正受給を)やってしまったのですか?」と記者が質問する様子まで放送した。

 当然のように、ネット上で批判の声が殺到。例えば、

《NHKも共同もQAB(琉球朝日放送)も実名報道しているのに
 沖縄二紙は犯罪者を庇うかの様に報道しない
 こういう身内には甘い忖度が問題
 犯罪に対して厳しい姿勢を見せないと、会社全体のイメージダウンに繋がる》

《なぜ沖縄のマスコミは、実名報道をしない?
 普段あれだけ政府を威勢よく品なく叩いてマスコミの報道と言論の自由を主張しているのに、こういう時はダンマリ。
 もし政治家や大企業の社員が同じことをやったら、いつものような追及の姿勢で挑むのでしょう。
 自浄作用とかゼロで、自由ばかり主張するのはおかしい。マスコミも、単なる一企業か。》

 沖縄タイムスは、ネット上の匿名報道について、HPでこう説明している。

《沖縄タイムスでは実名報道を原則としておりますが、事件・事故の報道については紙面上は実名で、ホームページなどでは匿名での報道を基本としております。インターネット上では、一度掲載すると情報が広がって長く報道され、すべてを消すことは困難です。》

《逮捕で容疑者を実名で報じた後、不起訴や裁判で無罪になったりするケースもあることや、刑期満了後もネット上に長く残り続けることで、当事者が不利益や迷惑を被る恐れがあります》

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