高級フレンチ「ひらまつ」創業者、経営陣から追放され裁判 泥沼訴訟の裏側とは

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“我が子同然”の会社を提訴

 高級フレンチレストランとして知られる「ひらまつ」。パリへの出店後、国内にも店舗を増やし2010年に東証1部上場を果たすなど飛ぶ鳥を落とす勢いだ。ところが、異例の上場企業代表兼オーナーシェフとして、長らくひらまつを率いた平松博利氏が、我が子同然のはずの会社に対して法廷闘争に乗り出す事態となっている。一体何があったのか――。

(以下は「週刊新潮」2020年11月5日号掲載の内容です)

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 2016年、当時64歳の平松氏は社長を突然辞任し、取締役でもない「会長」へと退いた。ひらまつ関係者によると、

「平松さんはシェフでありながら、30軒以上のレストランを切り盛りする経営者として、コスト管理をしなければならない立場でした。しかし、本来は美味しさのためなら食材への金に糸目を付けない昔気質の料理人。師と仰いだポール・ボキューズが一線を退いたことも重なって、引き際はひらまつ亭を開いたころの一シェフに戻ろうとしたのです」

 社長辞任に伴い、平松氏は自身が設立した「ひらまつ総合研究所」でひらまつの広尾本店を2億円弱で買い取り、料理の腕を直接振るうようになったという。当初は経営には携わらないつもりだったというが、結局は京都に出店した2店舗の陣頭指揮を執ることになった。しかし赤字が続いたため、開店から2年後、平松氏が12億円で買い取ることになり、ひらまつ総研に対して2店舗の業務委託料を支払う契約を結んだのだ。

 が、昨年末、ひらまつ側は平松氏に対して契約解除を通告。創業者というだけで会社資金を流入させるのは公私混同とされたのだという。

 これによって完全に爪弾きにされた平松氏は、会社を提訴。未払いの業務委託料3億7千万円の支払いなどを求めているのだ。

有料版】では、世界的シェフが自身の会社を訴えるまでに至った全内幕、背景にある「ひらまつ」の経営状態などについて詳報する。

2020年11月24日掲載

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