防衛省「馬毛島」買収、45億円の島が160億円に化けた裏側 菅総理、加藤官房長官が関与か

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「あまり筋のいい会社ではない」

 民主党政権時代の2011年には、日米外務・防衛閣僚会合(2+2)の共同文書に馬毛島がFCLPの候補地として明記された。にもかかわらずその後、防衛省と折り合いがつかない状況が長く続いたのは、

「あくまで売買での契約を求める防衛省に対し、勲氏が賃貸借契約を強く求めたためです。あと、勲氏がほうぼうから借金を重ねたことも影響した」(同)

 勲氏に近い関係者は、

「勲さんは物事を大げさに言う癖のある人なので、『馬毛島が高額で売却できたあかつきには……』といったことを言ってさまざまな人や会社から借金を重ねてきました。正直、そこを突かれると閉口するしかない、という状況のようです」

 リッチ社と勲氏が初めて接点を持ったのは12年。それも「借金」を巡ってのことだった。

「すぐにお金を用立てる必要があり、とあるブローカーに紹介されたリッチ社に借金することになったと聞いています」

 と、勲氏に近い関係者は語る。

「このブローカーはすでに亡くなっている方なのですが、たちの悪い人物で、彼に紹介された会社と勲さんは現在に至るまでことごとく揉めています。16年に馬毛島の土地に極度額5億円の根抵当権設定仮登記を打った広域暴力団元組長から金を借りたのも彼経由でした。この元組長とは裁判になり、18年に仮登記が抹消されています」

 リッチ社については、

「後々調べてみたところ暴力団も関係したと言われるJR川崎駅前の土地にも関わっており、あまり筋のいい会社ではない、と聞きました」(同)

「馬毛島を400億円で国に売れ」

 そのリッチ社からの「借金」は異例の形式をとっており、それが後々まで勲氏を苦しめることになった。

「リッチ社と勲氏は、世田谷区の経堂にある立石建設本社ビルと成城にある不動産の売買契約を交わし、勲氏は手付金という形でそれぞれ1億円と5千万円を借り入れた」

 と、事情を知る関係者。

「勲氏はこの売買契約は金を借りるための『架空』のものだと考えていたが、13年、14年の裁判で『架空の契約ではない』と認められており、勲氏は違約金として約4億円と約1億円、およびそれぞれの遅延損害金を支払わなくてはいけない状況に陥った」

 リッチ社はこの違約金について、

「立石建設本社ビルに抵当権を設定するよう要求してきた上、数回にわたって競売申し立てを行ってきた、と勲氏側は裁判で主張している。競売の期日が迫り、勲氏が“待ってほしい”と頼むとさまざまな条件をつけてくるのがリッチ社のやり方だったようです」(同)

 そんな中で登場するのが馬毛島である。勲氏側によると、16年5月末頃、

「馬毛島を400億円で国に売れ。閣僚の某に話をつけてあるから」

 とリッチ社役員に迫られ(リッチ社側はこの発言を否定)、そのための専属専任媒介契約を交わすよう求められたという。そして、契約締結に至るのだ。

 その契約書を加藤氏の事務所に持っていったとみられるが、

「リッチ社は、加藤氏とのパイプを使えば膠着した売買交渉を打開し、高値で馬毛島を売却できる、と勲氏を信用させたのでしょう。実際、菅さんと近い加藤氏の『口利き』があれば、馬毛島を国に売却できる可能性は高まる」

 と、先の政府関係者。

「リッチ社は利息制限法ギリギリの年利15%で勲氏に金を貸していましたが、馬毛島さえ売れれば債権は回収できるわけですから、低リスクで高利回りの投資を行ったようなもの。実際、当初1億5千万円だった債権は最終的に約6億6千万円まで膨れ上がった。しかし馬毛島が売れたことにより、すでに全額『税金』によって回収できています」

 リッチ社はこの「投資」によって約5億円もの利益を出した上、さらに仲介手数料を求めて裁判まで起こしているのだから、何ともえげつないことである。

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