劇薬がなければ変化も生まれず……メキシコ戦は森保監督の理想を追求する交代策で自滅

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押し込まれた日本

 しかしハーフタイムにマルティノ監督は2人の選手を交代し、左MFカルロス・ロドリゲス(23)[モンテレイ]に代えて、エドソン・アルバレス(23)[アヤックス]をボランチに入れ、右MFオルベリン・ピネダ(24)[クルス・アスル]を中央寄りに配置するダブルボランチの三角形の中盤にして守備を強化した。

「20分くらいまでは監督になって最悪の試合。プレーの奥行き、深さが足りなかった。後半は先回りし、あまりやらないダブルボランチと、その前にピネダを置いて有利に進められるようになった」とはマルティノ監督の弁だ。

 とりあえず、対処療法として日本の攻撃の起点に蓋をしたといったところだろう。

 対する日本はというと、後半12分に柴崎に代え橋本拳人(27)[FCロストフ]、鈴木に代えて南野拓実(25)[リバプール]を投入し、ゼロトップの布陣にした。

 絶対的な1トップの大迫が不在の場合は、南野のゼロトップが森保監督にとってファーストチョイスであることは想像に難くない。

 加えて遠藤がゲームメイクに長足の進歩を見せているため、フィジカルに強くボール奪取能力の高い橋本とのダブルボランチは魅力的ではある。

 しかしこの交代と、折からのガスで視界が悪くなり、日本は一方的に押し込まれるようになった。

似たタイプばかり?

 0-2になってから森保監督は攻守にハードワークのできる原口に代えテクニシャンの久保建英(19歳)[ビジャレアル]、鎌田に代えスピードスター浅野拓磨(26)[パルチザン・ベオグラード]、伊東に代え三好康児(23)[アントワープ]と交代カードを切った。

 しかしながらゴールはもちろん、決定機すら作れなかった。浅野の武器は伊東と同様スピードだが、2-0とリードしたメキシコは当然引いて守るため、快足を生かすスペースはない。本来なら空中戦に強いストロングヘッダーが欲しいところだが、海外はもちろん国内リーグにも該当者はいないのが辛いところ。

 パナマ戦後のことだった。森保監督はチーム作りの理想を次のように語った。

「ケガなどでアクシデントがあったときに、『誰としか組めない』ではなく、理想として『誰とでも組める』を連係連動しながらトライしていって欲しい」

 メンバーが代わっても目指すサッカー、理想とするスタイルやコンセプトは変わらないということだ。

 しかし、その弊害として似たようなタイプの選手が選ばれている気がしてならない。伊東と浅野、久保と三好に、今回は召集外だが堂安律(22)[アルミニア・ビーレフェルト]に中島翔哉(26)[ポルト]らだ。

 それぞれ特長が異なるのは当然だが、スピード系でありドリブラーという共通点がある(中島はそれに加えて決定力もある)。

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