NHKが制作した端島炭鉱(軍艦島)ドキュメンタリーに重大疑惑 検証を望む声

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現在進行形の問題

「65年も前の問題点を、今さら指摘して何になる。関係者も物故しているのは間違いなく、それこそ時効だ」と思われる人もいるだろう。

 だが加藤氏は「『緑なき島』の問題映像は、現在でも波紋を広げていることが分かったのです」と言う。

「信頼度の高いNHKが制作したドキュメンタリーですし、少なくとも島内の映像がリアルなのは事実です。問題があるはずの坑内映像は今も、特に韓国の政府やメディアによって『徴用工が劣悪な環境で働かれていた、奴隷労働の証拠』として何度も引用されているのです」

 もともと韓国では「炭鉱の中を上半身裸で寝そべって作業させられる徴用工」という有名な写真があり、日本の韓国人徴用工に対する非人道的な扱いを象徴するものとして広く知られていた。

 ところが産業遺産国民会議の調査で、この写真は昭和30年代に筑豊で撮られたもので、韓国人徴用工とは全く無関係であると判明している。

「韓国の釜山にある国立日帝強制動員歴史館でも、端島炭鉱の様子を紹介する展示は『緑なき島』の映像を解説に使用しています。他にも韓国のテレビ局が何度も映像を引用しているほか、2017年に韓国で公開された映画『軍艦島』[リュ・スンワン監督(46):CJ E&M]で作業の苛酷さを伝えるシーンに影響を与えています」

 国民会議と島民の会が発表した動画は、YouTubeなどで公開されている「軍艦島」の予告編から、NHKの「緑なき島」を参考にした可能性のある場面を紹介している。これもキャプチャした写真をご覧いただきたい。

 端島炭鉱では炭層の関係から、作業員は立ったまま作業を行い、坑道を斜めに掘り下げていったという。

 一方、NHKの「緑なき島」は狭い坑道を四つん這いになり、平行に移動している。映画「軍艦島」の予告編を見れば、類似したビジュアルイメージを採用したことが分かる。

NHKの取材

 NHKの公式サイトに「解説委員室」というコーナーがある。NHKの解説記事がアーカイブされており、例えば2017年8月に「時論公論」(NHK総合・平日・23:30)で放送された「日韓の新たな火種か 元徴用工問題」を読むことができる。

 タイトル通り、韓国の元徴用工が日本に賠償を求めた問題を解説したものだが、この中に《当時、軍需工場や炭鉱などに動員された人達の労働環境が劣悪で過酷だったことは確かです》との指摘がある。

 端島炭鉱の労働環境も、きっと劣悪で苛酷だった──こうしたイメージが裏付けとなる証拠がないまま拡散しており、その責任の一端は「緑なき島」にあるのでは、と加藤氏は懸念を示す。

「NHKは今年10月、九州地方のローカル番組として『実感ドドド!「追憶の島~ゆれる“歴史継承”~」』という、端島炭鉱に関するドキュメンタリーを放送しました。NHKから取材申請があったので、私はディレクターの方2人のインタビューを受けました」

 NHKの公式サイトには、この番組が《“歴史”は、どのように記憶され、そして、忘却されるのか》という問題意識で製作されたことが紹介されている。

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