小池知事の退職金3500万円は妥当か 安倍前総理は900万円、大阪府は廃止

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 4年前、就任直後の威勢に気圧された面々は「アレレ?」と思ったのではないか。報酬を半減させて内外に喧伝していた小池百合子都知事(68)が今夏、満額となる約3500万円の退職金を受け取っていたと判明した。同じ「身を切る改革」でも関西のアノ知事とは随分事情が違うようで……。

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 小池知事に支給される退職金について、金額を含め明らかにしたのは上田令子都議。小池知事と共に活動しながら、3年前に袂を分かったかつての「同志」である。

 その上田都議が言う。

「私が先日、東京都の人事課に問い合わせたところ、8月21日に1期目の退職金として小池知事に約3500万円が支払われていたことが分かったのです」

 正確には3494万4千円で、2期目を全うすれば同額の退職金が再び支払われる。無論、条例に則っているゆえ、それだけで問題とはならないが、小池知事の場合、そうとは言い切れない「特別な事情」もある。

「小池知事は4年前の就任直後、“身を切る改革”“改革を進める決意”と表明して自らの報酬を月約146万円から73万円に減額。全国最低の給与だとアピールしていました。にもかかわらず、退職金は半減前の報酬から算出し、満額で受け取っているのです」(同)

 4年で約3500万円という額は妥当なのか。参考になるのは、大阪の事例だ。

 大阪府では2008年に当選した橋下徹大阪府知事が在職中、知事の退職金が高すぎるとして、それまでの約4200万円から当時の全国最低額、約1260万円にまで引き下げている。

 その上、松井一郎大阪市長が府知事だった2015年には府の審議会で退職金のあり方について議論が交わされ、結果、退職金は廃止。その代わり、月の報酬に約20万円を上乗せすることになったのだ。

総理も900万円足らず

 その理由について、府政担当記者が解説する。

「民間の役員の場合、在職期間で計算される退職手当ではなく、その成果や業績に連動した報酬を支払うべきだとする企業が増えています。退職金を廃止した企業はその分を月の報酬に割り増ししているところが多く、大阪府も同様にしたのです。さらに、府知事の月の報酬を上乗せされた額から3割カットした上、現在の吉村知事も退職金は受け取ることができません。そもそも彼を含め大阪維新の会はそういう考えで、吉村知事が大阪市長を退任した際も退職金はゼロでした」

 ちなみに、7年8カ月在職した安倍晋三前総理でさえ、退職金は900万円足らず、である。

 都政担当記者によれば、

「小池さんが給与半減を明言した当時、知事の報酬が都議よりも低い水準になってしまったため、今度は都議の報酬を2割削減することになってしまいました。そして今回、都議は退職金がないのに、本人は満額受け取る。場当たり的なパフォーマンスの結果、こうしたちぐはぐな状況が生まれているのです」

 都庁OBで『築地と豊洲』(都政新報社)の著者でもある澤章氏は手厳しい。

「報酬半減はいかにも大衆受けを狙ったアピールですよね。しかし、退職金を受け取ることで報酬半減の帳尻合わせをしているようにも見え、小池知事の狡賢さを感じます。こうしたことで注目されるよりも、政策面で手腕を発揮していただきたいのですが……」

週刊新潮 2020年11月19日号掲載

ワイド特集「遅れてきた請求書」より

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