”連れ去り”の闇、3年間、毎月19万円を妻に払い続けても我が子に会えない男の苦悩

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なぜ返事が来ない手紙を書き続けるのか――

 結局、3年間の闘いで、野崎が勝ち取ったものは、3カ月に1度、妻から届く子供たちの写真だけだった。彼はこの間、子供に会えぬ絶望を乗り越えながら、職場に通い続け、毎月欠かさず19万円を妻に支払い続けてきた。にもかかわらず、許されるのは写真だけ。まだ子供の親権を保持する親なのに、である。

 それも弁護士を介して催促しないと滞るという。だが、ないよりはありがたく、スマホに保存し、毎日のように眺めている。その後、裁判を通し、子供たちの住まいが判明した。幸いまだ近くに住んでいることがわかったが、一度、間接交流で合意してしまったので、仮に街で出くわしたとしても、声をかけることはできないという。

 彼が子供たちにできることは、手紙を書き続けることだけだ。返事が来ない手紙を、なぜ書き続けるのか? そう問うと、毅然と答えた。

「生きている限り、いつか会える日が来るはず。その時、彼らから“なんでパパ、会いに来てくれなかったの?”と聞かれるかもしれない。私はどれだけ君たちに会いたかったか、想いをちゃんと伝えたい。その証しが、手紙なのです。すべてコピーして保管しています」

 そして、彼はこう訴えるのだった。

「連れ去りの最大の被害者は、私ではありません。ある日突然、父親を奪われてしまった子供たちなのです。彼らはとても苦しんで今の状況を飲み込んだのだと思います。これから成長していく上で、父親が必要な場面が何度もあるでしょう。でも、私は何もしてやれない。手紙を書き続けることは、私ができる唯一の子育てなんです」

週刊新潮WEB取材班

2020年11月17日掲載

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