足立区の「外国人生活保護打ち切り」問題 毎日新聞が報じたのは偏った事実のみ?

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〈生活保護 4日で打ち切り〉

 10月24日付毎日新聞にそんな見出しの記事が掲載された。

 それによると、ことのあらましはこうだ。

 野宿をしながら物流センターで働いていた30代男性が、支援団体の助けを得て東京・足立区に生活保護を申請し、10月8日に支給が決まった。区は支給手続きのために男性と連絡をとろうと、男性の滞在していたホテルを通じ、区に連絡するよう男性に求めたが、12日までに連絡がなかった。

 そこで区は打ち切りを決めた。「申請が重複して行われる可能性もあり、そこに住んでいないと思われれば、生活保護は必要ないと判断して廃止した」という。これに対し、支援団体関係者は「4日間で打ち切るなどまともな対応ではない」と批判している、と記事は記している。

 ――生活保護を申請した者が申告した住所にいなかったから打ち切った。当たり前ではないか。

 ただ、記事はこう続く。

 厚生労働省の担当者は「4日という短期間で受給廃止は聞いたことがない。廃止を決める前に本人に連絡を取る努力をする必要はある」と話している、と。記事はここで終わっている。

 ――そうか。区は努力を怠っていたのか。それは酷い……と読者は思うだろう。

 だが、同じ日に同じ件を報じた東京新聞を読むと、だいぶ違った様相が浮かび上がる。

 まず、東京新聞によると、生活保護を打ち切られた男性は「アフリカ出身の日本国籍男性(38)」だという。

 区の対応についても毎日より詳しい。担当者は8日と9日に計3回ホテルに電話。男性宛てに「電話してください」とメモを託した。12日も電話したが繋がらず。 一方、男性はメモを受け取っていた。そして電話しようとしたが方法がわからなかった、と言ったという。

 ――どうだろう。区は十分に“努力”してはいないか。男性側に瑕疵はないと言い切れるのか。東京新聞の記事は、男性が21日に再び生活保護申請し、区が可否を判断している、ということまで書いている。

 毎日新聞は“アフリカ出身”の事実を知らなかったのか。知って書かなかったとしたらなぜなのか。区の“努力”を詳報しなかったのは、区をことさらに悪者扱いするためではないのか。これらを毎日新聞に問うと、

「取材の経過はお答えしておりませんが、事実を歪曲し意図的に区に悪印象を与えようとしたものではありません」

 ちなみに、区によると、

「団体から要請書を受け取り、第三者の立場で弁護士が検証を行っています」

週刊新潮 2020年11月12日号掲載

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