「ゲーム漬け」「スマホ依存」の我が子とどう向き合うべきか 成功体験を持つ親に聞いてみると
子どもの自覚を促す
(5)子ども自身に考えさせるスマホ教育
子どものスマホ利用にルールを設ける親は多いが、形骸化する場合もまた多い。
一方的な取り決めは子どもの利用実態と食い違い、現実的に守りにくいのだ。
「娘たちは自分で“マイルール”を決めています」
と話すのは、高校2年生と中学2年生の娘を持つ母親(48)だ。
「利用時間の上限を、平日と休日で変えるとか、テスト前は“断スマホ”するとか、自分で考えながら使っています。好きなコンテンツや友達関係はそのときによって変わるので、本人の自主性に任せたほうがいいと思うんです」
子どもの意思や事情に応じて自己管理させるのが理想的だが、場合によってはルール無視が常態化しかねない。そんなときにはペアレンタルコントロール、要は親が子どものスマホ利用を管理する。
たとえばiPhoneには「スクリーンタイム」という機能があり、強制的な休止時間(画面を見ない時間帯)や、課金の有無などを設定できる。利用や解除の際にはパスコード(暗証番号)を入力するため、親が番号を管理すれば子どものスマホ利用に制限をかけられる仕組みだ。アンドロイドスマホの場合は、専用アプリの導入で同様の機能を設定できる。
「スマホ利用の可視化」も有効だ。先のスクリーンタイムでは1日の利用時間が自動的に記録されるため、これをもとに子どもに計算式を求めてみる。
仮に1日4時間なら1カ月で120時間。これに1年の月数である12を掛けると1440時間となる。最後は1日単位の24時間で割り算すれば60日、つまり、1年のうち丸2カ月も“スマホ漬け”という生活実態が明らかとなる。こんなふうに具体的な数字を示し、自分がスマホ依存になっていないか、子どもの自覚を促したい。
馴染みのある教訓から、ヒントを与えてもいい。
たとえば「タダより高いものはない」は、無料で手にしても結局は高くつく、世の中はそう甘くないという戒めだ。これを無料のゲームや動画に当てはめれば、一時の楽しさと引き換えに大事なものを失いかねない。実際に「甘くない」ことを知る親ならば、自身のエピソードを交えて子どもと話し合えるだろう。
SNSはかつての井戸端会議のようなもの。気楽なおしゃべりは楽しいが、些細な一言が思わぬ誤解を招いたり、「ここだけの話」が周囲に知れ渡ったりする。スマホの世界を特別視せず、現実生活を引き合いに、リアルな言葉で伝えたほうが説得しやすい。
ルールやモラルはなぜ必要なのか。人との関係で大切にすべきことは何か。困ったときはまずどうするか。子どもが主体的に考え、行動できるよう実践的なスマホ教育を目指してほしい。
ジャーナリスト 石川結貴
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