「ゲーム漬け」「スマホ依存」の我が子とどう向き合うべきか 成功体験を持つ親に聞いてみると
「私はアナログ人間で、ツイッターやスマホのゲームなんて全然わからない。長時間の利用を叱ったり、危険な真似をしないよう注意はしますが、娘たちはどこ吹く風です。“お父さんは何も知らないくせに”とバカにされ、結局はいいように押し切られてしまいます」
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中学生と高校生の娘を持つ父親(50)は、苦笑を浮かべて言った。
便利な機能を駆使する子どもに対し、親世代はかなりの遅れを取っている。子どものスマホ利用を不安視しながらも、何をどうすればいいのかわからないまま放置しがちだ。
一方、SNSやゲーム利用は拡大し、新たなコンテンツが次々に流行する。今年7月には文部科学省が中学校へのスマホ持ち込みを容認、今後はあらたなトラブルも予想される。
実際、警察庁の「令和元年における少年非行、児童虐待及び子供の性被害の状況」によると、SNSを巡って犯罪被害に遭った児童は2082人。裸の写真を撮られるといった児童ポルノ関連が671人で、児童買春の被害者は428人を数える。さらに、強制性交などの重要犯罪に巻き込まれた児童は111人に達し、略取誘拐だけでも46人にのぼる。
SNSを通じた犯罪被害やオンラインゲーム依存など、数々の懸念材料から子どもを守るにはどうすればいいのか――。
これまでに取材した30人の親の成功体験から、実際に子どもと向き合えた好例を挙げ、具体的な対応策を紹介しよう。
(1)ネットの検索機能を活用し、積極的にトラブル回避のための情報収集を行う
「当時小6だった娘が、“ツイッターをやりたい”とスマホ購入をせがんできました。“友達もやってる”と言われて、それなら使わせようかと思いました。ただ、ちょうど事件が起きて怖くなったんです」
兵庫県に住む母親(41)は、1年前をこう振り返った。
彼女が言う「事件」とは昨年11月、大阪府に住む小学6年生の女児が栃木県の男(35)の自宅に1週間監禁されたというもの。二人はツイッターを通じて知り合ったが、男の自宅からは別の中学3年生の少女も保護され、さらに世間を騒然とさせた。
また、今年8月には、動画投稿アプリ「TikTok」で知り合った愛知県の中学1年の女子生徒(12)を自宅に連れ込んだとして、三重県の男(34)が現行犯逮捕された。男は少女に対して「荷物は着替えがあればいいと思う! 待ってるよ!」などとメッセージを送っていた。
SNSの普及によって、本来は何の接点もなく、出会う機会などないはずの中年男と少女たちが、いとも簡単につながってしまう。
被害に遭う子どもたちは、大人から巧妙に誘導されて接触するケースがほとんど。たとえば、ペットの話題などを通じてSNS上で親しくなった相手から、自己紹介と称して、アイドル風イケメン青年の画像が送られてくる。舞い上がった少女は自分のプロフィールや顔写真を送るようになり、まもなく、相手から上半身裸の写真が届く。さらに、“キミの体も見たいな”と要求されて断り切れなくなる。もちろん、相手は「なりすまし」(男性が女性のふりをするなど、身元を偽ること)で、実際に裸の写真を送り返してしまうと、“バラまかれたくなかったら会いに来い”などと脅されるのだ。
より手が込んでいるケースでは、親にも相談できずに困り果てた少女に“私もアイツの被害に遭った。懲らしめたいから相談に乗らせて”というメッセージが届くことも。このメッセージの主は脅迫したのと同じ人物の別アカウント。だまされていることに気づかないどころか、「味方になってもらえる」と思った少女は、進んで会いに行ってしまう。そんな「事件」がいまも頻発している。
学齢別に使用制限
では、先ほどの母親はどんな対応をしたのか。
「私はツイッターを使わないし、どういう仕組みで女の子と成人男性が仲良くなるのかわからない。そこで、まずは調べてみようと、ツイッターに関する情報を検索しました」
〈ツイッター 使い方〉、〈ツイッター 小学生〉。そんなキーワードで検索するうち、ある情報を目にして驚いた。ツイッター社の規約で、13歳未満の利用が禁止されていたのだ。
「小学生は利用できないはずなのに、友達が使っているなら規約違反です。おそらく年齢を偽って利用者登録したのでしょうが、そういう不正行為をしたらどうなるのか、と、今度は娘と一緒に検索しました」
ツイッター関連の情報に接した娘は「ほかのことも調べてみる」と言い出した。同級生に人気のSNSを検索したり、ゲームのクチコミサイトを見るうちに、トラブルについても詳しくなった。中学入学を機にスマホを使いはじめたが、アプリのダウンロードなどの際には情報収集を欠かさないという。
「今では私も検索を活用しています。たとえば娘のスマホを購入したときには、“フィルタリング”という安全対策をする必要がありました。そこで、保護者向けの解説サイトを探したんです。設定方法だけじゃなく、フィルタリングの必要性や専門用語の説明などもあって助かりました」
スマホに詳しくない、子どものスマホ利用が心配、そんな場合は彼女のような方法がお勧めだ。知りたいことをキーワードにして検索すれば、ネットならではの多様にして具体的な最新情報が手に入る。
スマホキャリアなどが提供するフィルタリングサービスは、小中高生といった学齢に合わせて、サイトの閲覧制限やアプリの使用制限を設けることができる。これを設定すれば小学生は原則ツイッターなどのSNSが使えなかったり、アダルトサイトや出会い系サイト、薬物関連の情報をシャットアウトしてくれる。こうした機能は子どもが犯罪に巻き込まれることを未然に防ぐために、親が講じられる有効な手段だろう。
できれば子どもにも情報収集を習慣づけ、スマホ利用のメリットとデメリットをあらかじめ認識させておく。とりわけ危険な行為を防ぐには、親の感情的な説教より、専門サイトの警告のほうが効果的だ。たとえば警察庁の青少年向けサイトでは、SNSを通じた子どもの性被害をマンガで解説。お金欲しさにSNSで知り合った人と会い、「俺の後ろにはヤクザがいる」と脅されて性被害を受けたケースなど、リアルな実態が紹介されている。
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